第10回『 このミステリーがすごい!』大賞
新人文学賞。受賞者には賞金50 万円と記念品が贈られる。選考委員は石田衣良、重松清、篠田節子、杉本章子、山本一力。
法坂一広さん
エンターテインメントを第一義の目的とした広義のミステリー小説を募集。大賞受賞者には1200 万円が贈られ、受賞作品は刊行される。選考委員は大森望、香山二三郎、茶木則雄、吉野仁。
もともと本が好きなので、小説を書いてみたいという気持ちは、ずっと持っていました。ただ、それは「宇宙に行ってみたい」あるいは「エベレストに登りたい」といった、夢とも目標とも呼べない、願望や妄想に近いものだったと思います。
では、なぜ書き始めたか。ハッキリしたきっかけというものはなく、何かが降りて来た、とでもいうしかありません。
大まかな筋書きだけ考えて、あとは見よう見まねで、勢いを大切に、ともかく書き進めました。書いている間に思い付くことが多く、引き返して書き直すこともしばしば。
書き上がった時点では、当初考えていたものとは、かなり違うものになっていました。
私の場合は本業もありますので、仕事の合間や終業後に時間を見付けて書く、ということがほとんどでした。しかし、十分、二十分しかない時間の方が筆が進むことも多かったように思います。
結果として、ウケを狙おうなどと余計なことは考えずに、書きたいことを書きたいように書くことができました。良く言えば、肩の力が抜けていた、悪く言えばタガの外れた作品になったかと……。
それでも、この作品を通じて言いたかったことは、刑事事件において、弁護士(特に熱心な弁護士)がどれだけ理不尽な思いをして仕事をしているのか、ということです。この点だけは何とか伝えることができたと思います。また、弁護士でなければ書けない内容にもなった、と少しだ け自負しています。
逆に、賞を取るという明確な意思を持って書き始めたわけでもありませんので、今回の受賞がなければ、次を書いていたかどうか、今となっては分かりません。幸運、強運の極みです。
人生って不思議なことが起こります。何事もやってみなければ分からない、本当にそう思う今この頃です。(ほうさか・いっこう)
『弁護士探偵物語 天使の分け前』 |
第24 回 小説すばる新人賞
新人文学賞。選考委員は阿刀田高、五木寛之、北方謙三、宮部みゆき、村山由佳。受賞者には賞金200 万円と記念品が贈られる。受賞作『サラの柔らかな香車』は2 月に集英社より刊行予定。
橋本長道さん
投稿生活を送るうえで大切なこと
私は仕事を辞め一年程ぶらぶらした後に投稿生活を始め、一年半で今回の賞をいただきました。あくまで私の例ですが、「無職のための投稿講座」と題して大切だと思ったことを五つ挙げさせてもらおうと思います。
「①毎日書こう!」
私は受賞までに原稿用紙換算でおよそ三千枚書きました。投稿は二ヶ月に一度のペースです。一日十枚で計算すると、一年もかからずに到達できる分量です。
「②色々な分野に挑戦しよう!」
自分の適性がどんなものなのかは、書いてみないとわからないものです。他領域の技術を習得できれば、それは自分だけの武器になりえます。私もライトノベルや、ミステリーへの投稿を通して多くの発見をしました。
「③得意分野で勝負しよう!」
自分の人生を振り返ってみて、他人がしていないだろうなぁ、という経験があれば、それを題材にしてみるべきです。創作には嘘がつきものですが、自分のよく知る題材では自信を持って嘘が吐けることが大きいのです。私の場合は、かつてプロを目指したことのある将棋でした。受賞作の『サラの柔らかな香車』では、他の人では吐けない嘘が描けたと思っています。
「④家族を大事に!」
無職が長引くと、家族や親戚、ご近所の目が厳しくなってきます。家族は無職の生命線です。生活リズムを合わせ、密にコミュニケーションをとっていきましょう。受賞には至らずとも、上位選考まで残った実績を作って、もう少し長い目で見てもらえるよう仄めかしていきましょう。
「⑤傾向と対策を飛び越えよう!」
投稿歴が長くなると、自然と賞に関する情報に長けてきます。賞の傾向に沿って書くことは能力の向上にも繋がるでしょう。ですが、ブレークスルーが起こるのは、作品が傾向と対策の中に納まりきらなくなった時なのだと思います。
以上、五つ。付け加えて一つ……。自分にも言い聞かせている最中なのですが、受賞後が本当の勝負です。(はしもと・ちょうどう)
『サラの柔らかな香車』 |
天才ってなんだろう? プロ棋士になることができなかった青年、女流棋界に君臨し続ける女王、英才教育を受けた「天才」将棋少女――。彼らの前に、金髪碧眼の異才の少女サラが現れた時、世界はその景色を変える。新しい視点で描かれた青春将棋小説。
第7 回 新潮エンターテインメント大賞
エンターテインメント小説を募集。選考委員は恩田陸。大賞受賞者には100 万円が贈られ、受賞作は刊行される。また、フジテレビが映像化を検討。
水沢秋生さん
続ければ誰かの目に留まることもある
本腰を入れて新人賞に応募し始めたのは、三年ぐらい前からです。
それ以前からもちょこちょこと書いてはいたのですが、こんなもので新人賞に応募なんか恥ずかしくてとてもとても……、もうちょっと書いてたらいいアイデアとか出てくるかも……、もっと上手くなるかもしれないので出すならそのときに……、そんな感じで、要するに覚悟の足らないふにゃけたことを考えていたわけです。
それが三年前、当時住んでいた東京から、静かな場所に引っ越しまして、そのとき突如思ったのです。
「こりゃ、まずい! このままだと、いいわけ続けるだけで終わってしまう!」
今考えてみると、本屋も服屋もCD屋もいっぱいあって、ちょっと散歩しているだけでも毎日どかどか情報が入ってくる都会から、「……波の音が、聞こえるねえ。……あ、トンビが、飛んでいる」というような場所に越してきて、インプットとアウトプットの均衡が取れたのかも知れません。
ともかくそれからは、三年間、毎日毎日書いてきました。そして書いたものは、どこかに応募する。その繰り返しが始まりました。
もちろん最初は、箸にも棒にもです。自分で「これはなかなか、おもしろいのでは?」と思ったものを送っても、一次すら通らない。でも、そうやって出し続けていれば誰かの目に留まることもあるわけで、今回の受賞が決まる前にも、電撃文庫というライトノベルのレーベルからも一冊出すことができましたが、これも賞を頂いたというわけではなく、最終選考にも残れなかった作品を編集の方に拾い上げてもらった結果です。
今、大きな賞を頂いて、幸運なスタートラインに立つことができました。頭の中では、才能とか可能性とか失敗したらどうしようとか、そんなことがぐるぐる回っていますが、ともかく今日も、書いています。(みずさわ・あきお)
『ゴールデンラッキービートルの伝説』 |
ジュンペイとヨータの秘密基地には、「ゴールデンラッキービートル」と名付けた廃車のワーゲンがある。ある日ヨータは、ウサギ殺しの犯人と疑われている女子・ヒナが、ビートルから何かを持ち出すのを目撃し̶̶少年少女のひと夏の友情を描く大人のための青春小説。
バックナンバー
- 第91回オール讀物新人賞佐藤巖太郎さん(1月号)
- 第18回電撃小説大賞九丘望さん(1月号)
- シェル美術賞2011廣田光司さん(1月号)
- 第3回朝日時代小説大賞平茂寛さん(12月号)
- 第52回講談社児童文学新人賞市川朔久子さん(12月号)
- 第33回PFF ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2011 北川仁さん(12月号)
- 第9回開高健ノンフィクション賞水谷竹秀さん(11月号)
- 第2回『このライトノベルがすごい!』大賞谷 春慶さん(11月号)
- 第1回アガサ・クリスティー賞森 晶麿さん(11月号)
- 第57回 江戸川乱歩賞玖村まゆみさん(10月号)
- 第33回 小説推理新人賞小林由香さん(10月号)
- 第3回 角川春樹小説賞又井健太さん(10月号)
- 第57回 江戸川乱歩賞川瀬七緒さん(9月号)
- 第3回 さくらんぼ文学新人賞中村玲子さん(9月号)
- トーキョーワンダーウォール公募2011武田竜真さん(9月号)
- 第18回 松本清張賞青山文平さん(8月号)
- 第6回 ダ・ヴィンチ文学賞工藤水生さん(8月号)
- 第31回 横溝正史ミステリ大賞長沢樹さん(8月号)
- 第54回 群像新人文学賞中納直子さん(7月号)
- 第9回 北区内田康夫ミステリー文学賞安堂虎夫さん(7月号)
- 第3回 Be絵本大賞山崎史人さん(7月号)
- 第3回TBS・講談社ドラマ原作大賞大山淳子さん(6月号)
- 第4回WOWOWシナリオ大賞福島力ツシゲさん(6月号)
- 第48回宣伝会議賞水谷俊次さん(6月号)










