巻頭INTERVIEW 番外編 朱野帰子
- 文芸
2019.04.09

撮影:古本麻由未
巻頭INTERVIEW 番外編
朱野帰子(小説家)
1979年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』で第4回ダ・ ヴィンチ文学賞受賞。ほか、『駅物語』『海に降る』など著書多数。 4月から『わたし、定時で帰ります。』がドラマ化。また、結衣たちのその後を描いた『わたし、定時で帰ります。ハイパー』刊行。
5月号の巻頭インタビュー「YELL」では、朱野帰子さんにご登場いただきました。その番外編をお届けします。今月の「YELL」は、『わたし、定時で帰ります。』の朱野帰子さん!
4月16日(火)夜10時~、TBSテレビにて、
『わたし、定時で帰ります。』がドラマ化されます。
主演は、吉高由里子さん。まるであて書きしたみたいに役にぴったり。
原作は、朱野帰子さんです。
朱野帰子さんは、キャラクター造形に定評のある小説家ですね。
主人公・東山結衣は、事情があって定時で帰社したい会社員。
キャラという意味では強くはないのですが、これは主人公だから仕方ない。
主人公は、あまり突飛なキャラではやりにくいのですね。
その分、脇をかためる人物たちは極端なキャラ設定になっています。
同僚の三谷佳菜子(シシド・カフカ)は、小学校時代から皆勤賞という女性。風邪ぐらいでは絶対に会社を休まない。
先輩の賤ヶ岳八重(内田有紀)は、出産してすぐに職場に復帰したスーパーワーキングマザー。
なんだか、定時で帰してくれそうもないですね!
がむしゃらに働くのは必ずしも是ではない時代
個人的には、すごく計算して人物造形をしていると思ったのは、結衣の元婚約者で、仕事中毒の種田晃太郎(向井理)が、大学まで野球部に所属していたということ。
体育会系の監督って、伝統的に無茶を言う指導者が多い印象があります。
「オレがいいって言うまで走っていろ」「水は飲むな」とか。
そういう不合理に耐えられないと、体育会系は務まりませんね。
晃太郎も、上司の福永清次(ユースケ・サンタマリア)が無茶な仕事を受けても、
文句を言わず、上司も喜ばせ、クライアントも満足する仕事をするんですね。
結果、本人も周囲も残業だらけになってしまいます。
福永は「クライアントのために低価格で」と思っていて、根は優しい。
でも、業務をすべて外注してしまうと、赤字になってしまう。
そこで、それならと社内スタッフがみんなで残業してこなしてしまう。
一瞬、「素晴らしいことじゃないか」と思ってしまいそうです。
(私も似たようなことをやっています)
でも、そういう働き方が、まわりを定時で帰りにくくしているのかなあ、と猛烈に反省してしまいました。
というこの文章を、時間外に書いているって~!
せめて毎週火曜は定時で帰ろうか。
ドラマの原作『わたし、定時で帰ります。』は、新潮文庫から出ています。
続編にあたる最新刊『わたし、定時で帰ります。ハイパー』も発売中!
(ヨルモ)
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『わたし、定時で帰ります。ハイパー』
(新潮社・1400円+税)
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