結果発表

  • 文芸
  • エッセイ

大谷大学 親鸞エッセイコンテスト

応募総数
2,086点
主催
大谷大学
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総評

但馬弘宗務総長からの総評
今年度の親鸞エッセイコンテストについても、これまで同様、関連学校を中心として多くの中学・高校からの参加があった。
「『ほんとう』って?」という問いには、簡単には答えることができない。日常何気なく使用していることばであるが、目の前で起こっている「ほんとう」、本来あるべき姿としての「ほんとう」と、さまざまな意味を内包したことばである。しかし、どの応募作品も今を生きるなかで、自分が感じ、考えた「ほんとう」について、誠実に表現しようとするエッセイばかりで、選考に思い悩んだ。
特に、最優秀賞をはじめとする受賞作においては、家族や友人など身近な人々との関係や生活のなかで直面しているさまざま「現実」や「真実」について、彼ら彼女らの思いがまっすぐに表現されていた。ともすれば、辞書的な意味だけで考えてしまいそうなテーマではあるが、中学生や高校生特有の感性でまとめられていたのはすばらしいことである。
今回、じぶんの日常のなかで普通に使用している「ほんとう」ということばについて、あらためて考えたことが、今後さらにいろいろな事柄について真摯に考える機会となれば幸いである。

木越康学長からの最優秀賞作品講評
両部門とも上位10作品程までは簡単に候補を絞りましたが、その後の選考には苦労しました。日常生活のなかの何気ない出来事の描写は、特に心惹かれるものがあります。それぞれの人生の機微に触れるようで、気持ちが豊かになります。中学生部門で最優秀賞を受賞した藤井さんの作品からは、未知なる将来に向かって進む不安定さと強さを感じ、高校生部門最優秀賞の神田さんの描写からは、ご家族それぞれの表情や優しさが浮かびます。たくさんのご応募、ありがとうございました。

  • 最優秀賞(中学生部門)

    図書カード3万円分

    最優秀賞受賞作品 藤井咲子(京都府)

    「ほんとうにそれでいいの?」
    この言葉を何回言われてきただろう。たぶん、何百回何千回、と言われてきたと思う。
    私はバレエを習っている。夢は、ヨーロッパでプロのバレリーナとして活躍することだ。
    そのために、ほぼ毎日、厳しいレッスンを受ける。上手くなるためには、練習するしかない。しかも、「正しい」練習を積み重ねなければならない。だから、先生方は「ほんとうにそれでいいの?」「もっと正しいポジションでやりなさい」などと繰り返し指導して下さるし、自分でも考えながら練習している。
    でも、バレエには「完璧」なんてないのだ。一つ一つのポーズや動きは、こうしなければならないということが決められているが、そこに「完璧」はない。プロのバレリーナになっても、世界のトップレベルにいるダンサーでも、日々自分の身体と向き合い、「もっと美しくできる」「まだ上のレベルに行ける」などと考え、もっと上手くなろうとする。
    バレエには完成はない。でも、上手くなるにはひたすら完璧を追い求めていくしかない。だから、「ほんとうにそれでいいの?」と自分を見つめ続ける。いくら「ほんとう?」と問い続けても、ほんとうのゴールにはたどり着けないけど、「ほんとう」を追い求めていくしかないのだ。私は、このことはバレエだけでなく、生活の中でもあてはまると思う。腹が立つときでも、幸せなときでも、気づけば「ほんとうにこのままでいい?」と思うはずだ。私たちは、自分に「ほんとう?」と問うことで変わろうとするのかもしれない。きっと、「ほんとう」というゴールは存在しないのだと私は思う。「ほんとう」は、永遠に追い求めていくものではないだろうか。私は夢を叶えたい。だから、「ほんとう」を追い求めて努力することをやめないで、生きていきたい。

    受賞者コメント

    最優秀賞をいただけて、とてもびっくりしていますが、嬉しいです。これからも、自分と向き合いながら、夢に向かってバレエを頑張っていきたいと思います。

  • 最優秀賞(高校生部門)

    図書カード3万円分

    最優秀賞受賞作品 神田綾菜(京都府)

     今日の夕飯は何を作ろうかな。昼の3時を過ぎると自然に頭の中で考える。うちは共働きで、姉が就職をして今年の4月に家を出るまでの間、姉が家にいる時はいつも夕飯を作っていた。それが特別な事とは思わなかった。だから姉が4月に家を出て行ってからは、私が家にいる時は夕飯を作る日が多くなった。自然な流れだった。ある日の夕飯に豚の生姜焼きを作った。醤油を入れすぎてしょっぱくなってしまった。分かってはいたが、兄は「しょっぱい。」と言った。父も「ちょっと味が濃いな。」と言った。だが母だけはいつもと変わらず、「おいしい。有難う。」と残さず料理を食べてくれた。私の心は複雑だった。おいしいご飯を作って皆に喜んでほしかったのに失敗してしまったというがっかりした思いと、前はおいしく作れたのにという悔しい思い。明日はリベンジだ…と心の中でつぶやいた。次の日は茶碗蒸しを作った。人参は型抜きをして花の形にした。ほうれん草と鶏肉も入れて、今回はちゃんと味見をして作った。家族はみんな「おいしい。」と言って食べてくれた。母は今日も「おいしい。有難う。綾は料理が上手だね。」と褒めてくれた。そして「次の休みは一緒にご飯を作ろう。」と言った。私は黙って頷いた。私は胸が熱くなった。それは料理が上手くできて褒められたからではない。いつも料理を作っていた私は少し頑張りすぎていたのだ。姉の代わりになるんだと大人ぶって背伸びしていたのかもしれない。本当の私は母の作った料理を「おいしい。」とただ食べたかったのだ。今週末は母とキッチンに立って料理を作る。何を作ろうかな…と料理のレシピ本を読みながら私は気付いた。凝った料理は作らないが、きっといつもの倍おいしい料理が出来ると思う。本当の私は母と一緒に夕飯が作りたかったのだ。

    受賞者コメント

    高校生になって、少し背伸びしていた自分の気持ちを素直に書きました。今回このような素晴らしい賞をいただき、とてもうれしく思う反面、少し照れくさいきもちでいっぱいです。ありがとうございました。

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