公募ガイド

  • お問い合わせ 03-5312-1600
  • お問い合わせ 03-5312-1600
TOPページ > 受賞のコトバ > 2014年 > 2014年3月

賞と顔 2014年3月

第12回『 このミステリーがすごい!』大賞

ミステリー&エンターテインメント作家の発掘・育成を目指す新人賞。大賞受賞者には賞金1200万円が贈られる。累計1,000万部を突破した「チーム・バチスタ」シリーズの海堂尊など多くのベストセラー作家を輩出。

受賞者:梶永正史

自分らしいワクワクする作品を
今後も書き続けたい

かじなが・まさし

かじなが・まさし

1969年、山口県生まれ。現在はコンピュータメーカーに勤務。受賞作『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』(『真相を暴くための面倒な手続き』より改題)は宝島社より好評発売中。

小説を書こうと思いたったのは、今から5年前の初詣のことです。それまでを振り返り、何ひとつやり遂げたことがなかった私は焦りを感じ、過去に何度も挫折して諦めていた「執筆」に再び挑むことにしました。

プロットも執筆の作法もあったものではなく、話も支離滅裂。それでも夢中で筆を走らせました。往復で2時間を超える通勤電車内がその主な執筆の場です。

吊り革につかまりながらスマホに書き溜めるこのスタイルは今でも変わっていません。

こうして1年以上かけてひとつの長編を書き上げたときの達成感は、なにものにも代え難いものでした。

その自己満足だけで終わるはずでしたが、面白いと言ってくれた友人の言葉を真に受けてしまい、新人賞に応募することにしました。『このミス』を選んだ理由は、当時の上限が原稿用紙800枚で、せっかく書いた文章を刈り込まなくてもすむという安易な考えからでした。

当然、箸にも棒にもかからない結果となりましたが、物語を書くことにハマってしまい、「執筆通勤」はその後も続きました。

そしてこの度、幸運なことに本賞を受賞することができた訳ですが、これを機に考えたのは、本作と一次通過すらならなかった過去の3作品との違いです。

抽象的ではありますが、それは筆力の向上というよりも、ただ純粋に「おもしろかった!」「ワクワクした!」といってもらえるような作品にしたい--このコンセプトが全てだったように思います。

また、書評にてキャラクターについてお褒めの言葉をいただきましたが、これは登場人物に愛情を注ぎ、自分が唯一の理解者なのだと意識しながら書くという、これまでとは違うスタンスによるものだと思います。

受賞後、今後の執筆に対する姿勢に、ある種の責任を感じるようになりました。それは未来の作品に対するプレッシャーといってもいいかもしれません。

とはいうものの、計算高くいくのはあまり得意な方ではないので、あくまでも自分らしいワクワクする作品を今後も書き続けたいと思っています。

相変わらず、吊り革につかまりながら。

(かじなが・まさし)

受賞作『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』(『真相を暴くための面倒な手続き』より改題)

警視庁捜査二課主任代理、郷間彩香。32歳、独身、彼氏なし。捜査二課で贈収賄や横領などの知能犯罪を追う彩香は、数字に手掛かりを求めて電卓ばかり叩いているため、周囲からは“電卓女”と呼ばれている。そんな彩香に、刑事部長から特命が下った。--「渋谷で銀行立てこもり事件が発生している。至急現場に向かい、指揮をとってくれ」。青天の霹靂に困惑しながらも、彩香は立てこもり現場である渋谷に急行する!

第12回『このミステリーがすごい!』大賞

ミステリー&エンターテインメント作家の発掘・育成を目指す新人賞。大賞受賞者には賞金1200万円が贈られる。累計1,000万部を突破した「チーム・バチスタ」シリーズの海堂尊など多くのベストセラー作家を輩出。

受賞者:八木圭一

常に進化した姿で、
打席に立ち続けたい

やぎ・けいいち

やぎ・けいいち

1979年、北海道十勝出身。横浜国立大学経済学部卒。雑誌編集者を経て、現在はコピーライター。受賞作『一千兆円の身代金』(『ボクが9歳で革命家になった理由』より改題)は、宝島社より好評発売中。

先日、首相が年頭会見で経済政策を野球の例え話でされていたので、かぶせてみます!

私は大学で財政学を専攻しまして、国の財政政策に強い憤りを持ってきました。安易な問題のバント先送りが続いていますが、このツケを払う次世代には何の責任もありません。

ノーアウト満塁で負け試合に駆り出されるのは彼らの方じゃないですか……。

で、一刻も早く戦術を改めなければ、いつまで経っても逆転できるはずはなく、一人ひとりが考えてチームプレーをしなければ、変わらないと思うのです。

「そんなこと言ったって変わらねえよ」と、言われるかもしれませんが、私は変えられると信じていますし、諦めたらそこで試合終了という監督もいます。

生意気ですが、そういうきっかけを作るため、小石でいいから一石投じたかった、いえ、国の暴投を真っ向から打ち返したかった。で、長年、ルポに挑戦してきたのですが空振り続きで……、何度も断念しかけましたが、一向に財政危機が解消される気配はなく、諦めきれず、テーマはそのままに、フィクションにコンバートしてみたのです。

ミステリー小説は初挑戦でしたが、これが書いていて楽しく、三ヶ月で一気に書き上げ、二ヶ月かけて推敲しました。隠し玉(特別賞)狙いでしたが、まさか、大賞を取れるなんて……。

がしかし、実力不足で応募作は完成度が低かったため、改稿作業が大変でした。もっと勉強して、当面は社会派ミステリーに全力投球します。様々な欠点も指摘されているので、次の作品ではしっかり修正し、球種も増やしていきたいです。

客観的にみて今までの戦績は、5打席5三振くらいだったと思います。どう考えても天才じゃない。だから、ただ打席に立てばいいわけじゃないと、結果を出すために試行錯誤しました。ずっと右打席だったのに今回、左打席に入ったら、いい感じに力みが抜けて結果が出たという感覚があります。

これから本当に厳しい勝負の世界が待っていると思います。夢に向かって打席に立ち続ける皆さんに負けないよう、どうすれば進歩できるのか考え、ペンを短く持って握りしめます。

(やぎ・けいいち)

受賞作『一千兆円の身代金』(『ボクが9歳で革命家になった理由』より改題)

「元副総理の孫を誘拐した。財政赤字と同額の1085兆円を支払うか、さもなくば、巨額財政赤字を招いた責任を公式に謝罪し、速やかに具体的再建案を示せ」。前代未聞の要求にマスコミは騒然。警視庁は捜査一課特殊犯係を直ちに派遣し、国家の威信をかけた大捜査網を展開する。やがて捜査陣は、あるブログの存在に行き着くが……。感動と慟哭のラストが待ち受ける“憂国”誘拐サスペンス巨編!

第13回 坊っちゃん文学賞

斬新な作風の青春文学小説を募集。審査員は椎名誠、早坂暁、中沢新一、高橋源一郎。大賞受賞者には賞金200万円が贈られる。同賞は1989年の松山市制100周年を機に創設。

受賞者:桐 りんご

読者の方に
温かい気持ちを届けたい

きり・りんご

きり・りんご

1981年、沖縄県出身。横浜国立大学教育人間科学部卒業。趣味は読書、旅行、食べ歩き。好きな作家は村上春樹、瀬尾まいこ、益田ミリ、夏目漱石。好きなアーティストは小野リサ。受賞作『キラキラハシル』は「クウネル」3月号(マガジンハウス)に全文掲載され、3月に電子書籍化される予定。沖縄タイムス紙面のコラム「唐獅子」を執筆中。

作家・村上春樹さんは、神宮球場で野球の試合を見ながら、「そうだ、小説を書こう」と思い立ったそうです。「何かをしたい!」と強く思ったことのない私にも、そういうときが来て欲しいと漠然と考えていました。すると、昨年そのときは訪れました。

私は大学卒業後、高校で国語教師として5年間勤務しました。その5年間の中で、文学作品に触れる機会は多かったものの、日常の業務に追われ、趣味である読書もままならない状態でした。それどころか、体を壊してしまい、教師を続けていくのが困難になってしまいました。その後、仕事を辞めることになりましたが、そのことがきっかけで、これまで溜まっていた読書欲が溢れ出し、私は本を貪るように読みました。

体を休め、読書に没頭して4年、著名な先生方の洗練された素晴らしい文章の数々に触れ、それを味わうことで、私の中で長い間眠っていた感情や情熱を触発されました。そして、刺激を受けるだけではなく、自らも発信したいと思い立ち、昨年から創作活動を始めました。

「坊っちゃん文学賞」は、夏目漱石が好きだった私の以前からの憧れでした。創作活動を本格的に始めた年に「第13回坊っちゃん文学賞」の募集があり、「これは応募するしかない!」と心に決め、『キラキラハシル』を書き始めました。

坊っちゃん文学賞大賞を受賞できたことで、「私の文章を読んで評価してくれる人がいる。私は書き続けても良いのだ!」と少しは認められたような気がしています。

拙作『キラキラハシル』は、「読者の方に温かい気持ちを届けたい」という私の想いを込めた作品です。これからも、読後に爽快感を感じられるような作品を書いていけたらと思っています。

特別なことではありませんが、今後も、一日一日を大切にし、自分と向き合い、「書く」という行為を続けていきたいと思います。平凡な日常の中で生じた自分の中の小さな声に耳を澄まし、その声を聞き逃さず、「書く」という行為につなげていけたらと思います。

(きり・りんご)

受賞作『キラキラハシル』

豊かな緑に囲まれた田舎の小学校を舞台に、400mリレーで全国大会出場を目指す少女4人の不満や悩み、成長を描いた青春小説。

賞と顔 TOP

PAGE TOP

PAGE TOP