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賞と顔 2014年10月

第14回 テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞

未発表のオリジナルシナリオを募集。テーマ、ジャンルは自由。大賞受賞者には賞金800万円が贈られる。

受賞者:東山泰子

脚本は映像化されて
初めて完成するもの

ひがしやま・やすこ

ひがしやま・やすこ

1976年、愛知県生まれ、神奈川県在住。日本大学藝術学部文芸学科卒業。フリーランス。趣味は殺陣。好きな作家は夏目漱石、谷崎潤一郎、檀一雄、向田邦子、伊集院静。受賞作『夏目家どろぼう綺談』はドラマ化(放送日未定)を予定。

「賞と顔」というコーナーの冒頭で恐縮ですが私はこれまで38年間賞とは無縁の人生でして、それがこの度このような栄えある賞をいただけたものですから、受賞の一報をいただいた時も宝くじに当たったようで、実際授賞式の会場に行くまで半信半疑でした。

とはいえ今回が初めてではなく、他局及び他団体主催のコンクールにもこれまで色々作品を投稿したことはありますが結果受賞には至らず。

せっかくですから今回とそれまでと何が違ったのか私なりに考察した結果をこの場をお借りして綴らせていただき、これから応募される方の今後の参考に少しでもなれば幸いです。

「時代物は金がかかるからダメ」「〇〇主催のコンクールはサスペンスが審査に通りやすい」等、特に映像化が予定されている脚本コンクールにおいてはタブーとされる定石や逆に良かれとされる過去の傾向があり、私もそれらを全く意識しないわけではありませんでした。主催者側の意向や求められている作品の趣旨を汲み取ることは応募する上で必要なことです。その上で自分が伝えたい世界やテーマをどう盛り込んでいくか。

脚本は映像化されて初めて完成するもので多くの方の時間と労力のもと視聴者に届きます。観ていただく方の時間もいただくことになります。テレビメディアであればその数は膨大なものになる。人一人の時間をもらうだけでも大層なことなのにそうまでして自分が伝えたいことや表現したいことは何なのか、それは関わる方や観て下さる方の対価に見合うものなのかーーその為に今自分が持ちうる力を出し切ろうと思って今回は書きました。

受賞作『夏目家どろぼう綺談』は教職に嫌気がさしていた夏目漱石と夏目家に泥棒に入った青年が書生と間違われ交流することで互いに学ぶ楽しさや伝える喜びを見出していく物語です。教育をテーマにしていますが娯楽作品として皆様に楽しんでいただけるのではないかと思っています。

この度の受賞に関しては、冒頭で宝くじに当たったようーーと書いた通り運もあったのだと思います。ただ何より大切なのは取り組んでいる最中、そしてその姿勢に他ならないのではと感じた次第でした。

(ひがしやま・やすこ)

受賞作『夏目家どろぼう綺談』

教職に嫌気がさしていた夏目漱石と夏目家に泥棒に入った青年が書生と間違われ交流することで、互いに学ぶ楽しさや伝える喜びを見出していく物語。

第6回 角川春樹小説賞

未発表の長編小説を募集。ミステリー、時代小説、ホラー、ファンタジー、SFなどエンターテインメント全般の作品を。受賞者には賞金100万円が贈られる。選考委員は北方謙三、今野敏、角川春樹。

受賞者:鳴神響一

伝えたいことがあった
伝え方を知らなかった

なるかみ・きょういち

なるかみ・きょういち

1962年、東京都生まれ、神奈川県在住。中央大学法学部政治学科卒業。趣味はフラメンコ鑑賞、風景写真の撮影、DTM(Desk Top Music)、キャンプ・旅行。好きな作家はジュール・ヴェルヌ、アガサ・クリスティー、司馬遼太郎、横溝正史。受賞作『私が愛したサムライの娘』(『蜃気楼の如く』より改題)は、10月1日刊行予定。

初めて小説を書いたときには自信満々だった。この一作が世に出れば、オレは大人気作家だ、くらいにうぬぼれていた。(今思うと、実に空恐ろしい)

一方で、なかなか新人賞に応募できなかった。「ダメ出しされることが怖かった」のである。

傲慢で臆病な第一段階を抜け出して、新人賞に投稿した。ところが、一次選考も通らない。「自分には作家になる才能がないのか、小説を書く時間は、人生の無駄遣いなのではないか」

そんな反問と煩悶に満ちた日々が続いた。毎週のように出かけていたキャンプや旅行も、半年に一度しか行かなくなった。

けれども、懸命に書いた小説は誰からも相手にされなかった。第三段階。とある小説教室に通った。先生から小説のイロハをご教授頂いて、目からウロコが落ちた。やがて、一部の賞で落選評を貰えるようになった。

その度に落ち込んだ。ヤケクソになって飲み歩き、「どうせ理解されないんだ。明日からは絶対に小説なんて書かない」と叫んでは、夜の街を彷徨した。(ああ、いい中年が恥ずかしい)

過剰な自信と、死ぬほどの落ち込みは、表裏一体なのかもしれない。心の奥底では不安だからこそ、表層意識では強く自信を抱こうとするのではないか。

天才作家の先生方は別だろう。だが、僕の場合には、自作を等身大に見ることが必要だった。自分の長所も短所も自覚できるまで、何作も書く必要があった。

ようやく「着想はいいけど、キャラがイマイチだなぁ」なんて感じに、自分の作品を他人事として眺められるようになった。昨年、ある賞で最終候補に残った際にも、残念な結果を知って、「今回はご縁がなかったと言うことで……」と呟いていた。

そうしたら、角川春樹小説賞が拾って下さった。僕にとって、カドカワ文化は青春の一ページなので、飛び上がって喜んだ。

尊敬する選考委員の先生方にお選び頂き、素晴らしい編集部の皆様に恵まれ、今の僕は小説を書ける幸せを噛みしめている。

どんなにダメ出しされても、小説を書くことが好きであればあなたには才能があるのです。自分を信じて書き続けて下さい。きっと、幸せが訪れるはずです。

(なるかみ・きょういち)

受賞作『私が愛したサムライの娘』(『蜃気楼の如く』より改題)

尾張藩主徳川宗春の夢を叶えるために、生命を賭けて戦った甲賀忍びたち。彼らの暗躍の影に、真実の愛を求めた男と女がいた。女忍び雪野と出島蘭館医師ヘンドリック。二人の悲恋は、果たして実る日がくるのか。

第36回 小説推理新人賞

広義の推理小説を募集。ミステリー界に新風を吹き込む、フレッシュで独創的な作品を。選考委員は小池真理子、真保裕一、貫井徳郎。大賞受賞者には賞金100万円が贈られる。

受賞者:蓮生あまね

常に願うのは
人の心に響く物語を
書きあげられますように

はすお・あまね

はすお・あまね

1980年生まれ、石川県在住。北陸大学法学部政治学科卒業。趣味はピアノ、能楽鑑賞。好きな作家はジェフリー・ディーヴァー、ピーター・トレメイン、C・J・サンソム。受賞作『鬼女の顔』はシリーズとして連作予定。

机の前に座り、集めた資料に首まで埋まりながら、まだ影も形もない物語を四苦八苦して捻りだす。そんな執筆の合間に近所の鎮守の森を歩きます。深閑とした境内に並ぶ十ほどの神社を巡って手を合わせ、「私は物書きでしか生きていけません。だから、この新人賞をどうか私に授けて下さい」……まさに神頼み。

でも、ただの神頼みではない。

高校時代に「小説家になろうかなぁ」と漠然と思ってから、十七年余。外野の冷たい視線にめげないまでも、もう後がない、と思う私は「私に作家への扉を開いてくれる新人賞を」と一心に念じながら募集要項の山を漁っていました。ところが、どれもピンとこない。そんな時、ふと手にとった小説を読んで、

「なかなか良い本だな。おや、この作品は新人賞受賞作なのか。でも『小説推理』か。ミステリー読むのは好きだけど書くの難しそうだなあ……でも念のため募集要項を見てみよう。おやおや広義の推理小説とあるぞ」

特に根拠も無いのに、ここならいける、というインスピレーションが閃いた瞬間でした。

神社巡りを始めたのは、その後のこと。清涼な空気を吸いながら拝殿の前で心を鎮めると、様々な願い事が浮かんできます。その中で特に声の大きなものを三つほど心で唱えますが、常に願うのは「人の心に響く物語を書きあげられますように。多くの人に読んでもらえますように」もっと単純に「ネタ!」という時もありますが。神さま迷惑?

どんな無謀な願いも神社は黙って聞いているばかり。けれども、そこで祈念という形で自分の中の疑問や希望を鮮明にして、潜在意識に深く投げこんでおくと、やがて木霊のように答えが返ってきます。応募先を見つけた時のようにインスピレーションという形で。

元より、そうした閃きは物語を紡ぐには必要不可欠なもの、そして今回、初めて自分の作品を世に送り出すための大きな助けになったように思います。

今も続ける神社巡りは、その閃きを得るために自分と向き合う大切な時間になっています。

(はすお・あまね)

受賞作『鬼女の顔』

室町時代の京都、能楽隆盛の折、「鬼女の面」の制作を依頼された面打ち師が、モデルとなる女の顔を探すうちに後妻打の騒ぎに巻き込まれる。

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