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賞と顔 2014年12月

現代アーティスト公募プログラム
ART IN THE OFFICE 2014

マネックス証券本社(東京)のプレスルームの壁に展示する平面作品案を募集。受賞者には賞金30万円が贈られ、制作費10万円が支給されるほか、現代アートの学校MAD2014「アーティスト」コース(後期) の無料受講資格が与えられる。

受賞者:川内理香子さん

かわうち・りかこ

1990年、東京都生まれ。多摩美術大学在学中。第9回shiseido art egg を受賞。2015年1月に資生堂ギャラリーで個展を開催予定のほか、五美大展2015(国立新美術館)および卒業制作展(多摩美術大学)に参加予定。

プレスルームで絵を描くという
能動的なプログラム
そびえ立つオフィスビルに入り、わたしはジーンズにTシャツというラフな格好で、シャキッとしたサラリーマンやウーマンに混じって、預かり受けている社員カードをかざし、「ピッ」とゲートを通過する。
マネックス証券が主催する「ART IN THE OFFICE」という公募プログラムで展示をするにあたり、会社のプレスルームでの2週間の滞在制作が組み込まれている。アトリエともギャラリーとも美術館とも違う会社の会議室で、社員の方々と交流しながら、日々の発見や気づきを展示に反映させていく能動的なプログラムだ。わたしは、あたかもマネックス証券の社員のように会社に通い、プレスルームで絵を描いた。
今回の展示のテーマは「鮨」である。
鮨は、握った酢飯の上に刺身をのせるというシンプルなフォーマットでありながら多種多様な色彩や形、食感や味がある。そんな鮨の多様性を社員の方一人一人の個性と重ねるように、わたしは「自分を鮨のネタに例えたら何か?」という問いを社員の方に投げかけた。
その回答は「長いものに巻かれつつも、中身は粘り強く、でも少しはみ出してもいきたい」と中身が溢れ出している納豆巻きと答える方や、「これと言って好きっというかんじでもないけれど、これを食べると鮨を食べたな、という気になれる。目立ちもしないけど、絶対に食べてしまうタコかサーモン」と答える方など、彼らの想像力や観察力の奥深さに、どきっとさせられた。
たくさん問いを投げかけていると、ふと、その問いが自分にも返ってきた。
なんだろうとしばらく悩んだが、わたしの答えはハモである。ハモは口当たりが柔らかく、淡白であっさりとした味であるにもかかわらず、とりきれない程の骨がふわふわした身の間に隠れている。すんなり飲みこめてしまうけれども、後から細かな骨がたくさんあることに気づく。
わたしの作品たちも、何気なく見ているうちに鑑賞者の意識や体に入り込み、後から何かがひっかかるような、そんな作品になっていってほしいと思っている。
(かわうち・りかこ)

受賞作『鮨/寿司/すし/sushi』

鮨は、酢飯と刺身という非常にシンプルな組み合わせであるにもかかわらず、様々な色彩や形、食感や味を持つ多様性のある食べ物だと思っている。また、お金というのも、価値があるということは変わらないが、その価値は時代や場所で変動していくものだと思う。その変動に合わせ、その時代でさまざまな変革を遂げていくであろうマネックス証券と、どこまでも横に広がりを見せる鮨が、重なり合う部分があるのではないかと考えて制作した。

第1回 暮らしの小説大賞

「暮らし」と「小説」をつなぐ新しい文学賞として「暮らしの小説大賞」を設立、小説を募集。受賞作品は単行本として出版し、規定の印税が支給される。

受賞者:髙森美由紀さん

書いて送る行為に
ほとんど中毒になって

たかもり・みゆき

1980年、青森県出身。八戸西高等学校卒業。好きな作家は、群ようこ、さくらももこ、東海林さだお。ちゅうでん児童文学賞大賞の受賞作『いっしょにアんべ!』(フレーベル館)を2月に出版。今回の受賞作『ジャパン・ディグニティ』(産業編集センター)は10月17日に刊行された。

私の書くものは、小説とか作品とかそういったご大層なものじゃありません。妄想が肥大しただけの「お話」です。

私は計画性のない人間です。書き始めるに当たって、設計図は書けません。浮かんだことをそのまま書いて後から入れ替えたり調整したりしています。とんでもない矛盾を発見して卒倒しそうになるのは毎回なのに、学ぶということもありません。

暮らしをテーマにした小説を募集しているのを知り、津軽塗を書いたのは地元の人の生活に溶け込んでいて普段あまり漆器の存在を意識していないように思えたからです。

特別なことではないこと。それが暮らしだと思いました。

国語が苦手で、テストの問題文すら何を言っているのかとんとわからなかった私が、お話を書き始めたのは偶然、図書館に派遣されてからです。

初めは原稿用紙5枚の短いお話でした。送っても送ってもボタボタ落ちました。それでも構いませんでした。書いて送る行為にほとんど中毒になっていました。

書くようになってから、偶然や些細な出来事と見過ごしてしまいそうなこと、また見過ごしてきたことにも必ず意味はあり、見たこと、聞いたこと、嗅いだこと、味わったこと、思ったことの一つ一つが未来に必要なものであると考えるようになりました。

『ジャパン・ディグニティ』はヘナチョコ津軽塗職人の親子が地味ながらも、世間やひいては世界に挑戦する話なのですが、職人の話だからといって難しいことは書いておりません。というか、私には難しいことは書けません。彼らの日々の暮らしぶりをじわじわとした笑いとともに綴っています。うだつのあがらない彼らの奮闘ぶりに、読んでくださる方が少しでも気が楽になって、こういう人でも何とか生きていられるなら、自分もまだまだ大丈夫だろうと勇気づけられればいいな、と祈って書きました。

これからも市井の人々のぼちぼちな暮らしぶりをちょっとコミカルに書いていきたいです。

(たかもり・みゆき)

受賞作『ジャパン・ディグニティ』

22歳の美也子は津軽塗職人の父と、デイトレーダーのオネエの弟との三人暮らし。スーパーのレジ係の傍ら、家業である津軽塗を手伝っていたが、元来の内向的な性格と極度の人見知りもありスーパーを辞める。しばらくの間、充実した無職ライフを謳歌していたが、津軽塗の世界に本格的に入ることを決めた。うだつのあがらない漆職人の父娘(おやこ)の挑戦を、ひたむきにコミカルに描いた青森発「もの作り小説」。

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