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賞と顔 2015年2月

第27回 小説すばる新人賞

新人文学賞。受賞者には記念品と賞金200 万円が贈られ、受賞作は刊行される。選考委員は阿刀田高 五木寛之 北方謙三 宮部みゆき 村山由佳。

受賞者:中村理聖

中村理聖

なかむら・りさと

1986年、福井県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。現在は京都の出版社に勤務。受賞作『砂漠の青がとける夜』は、2015年2月5日に集英社より刊行予定。

言葉にこだわり続けて
 本格的に小説を書き始めたのは、大学四年生の冬休みだった。三島由紀夫に関するレポートを執筆していた時、息抜きに日記のような散文を書いた。それが物語性のある文章に見え、何度も読み返すうちに、自分も小説が書けるかもしれない、という淡い期待が生まれたのだった。
 私が文学部に入学したのは、文章を読んだり書いたりするのが何となく好き、という理由だった。在学中は古今東西、様々な時代の名作に触れ、圧倒され続けた。小説を書こうと試みたこともあるが、自分の言葉に意味を見出すことができなかった。書きたいけど言葉にならない。そんな葛藤を、サークル活動やらバイトやらに取り組むことで、まぎらわし続けたのであった。
 ただ、小説がどのように書かれ、それをどう読み解くべきか、そういう関心だけは捨てきれず、個性の強い同級生や先生達に揉まれながら、言葉を読み続けた。小説への漠然とした憧れと失望は、いつも心の片隅にあった。そして、就職が決まり卒業が近づいた頃、自分の言葉が変化する瞬間が訪れたのだった。
 受賞に至るまでの間、働きながら書き続けた。出勤前と就寝前、休日に時間を作り、ネタ帳を常に持ち歩いた。現実と空想世界の切り替えに苦労しつつ、理由も義務もないのに気づくと書いていた。書けない時は、ひたすら小説を読んだ。高校時代の国語便覧を探し出し、明治から平成までの色んな作品を読んだことは、執筆の糧になった。
 最初は、小説を書いていることを、恥ずかしくて人に言えなかった。けれど、大学時代の友人に作品を読んでもらい、自分の内面をさらけだしても死にはしない、と思うようになった。落選すると落ち込み、「楽しいの?」と聞かれても、上手く答えられない。けれど、他にやりたいこともなかった。
 幼い頃、両親が毎晩絵本の読み聞かせをしてくれ、言葉に興味を持った。初めて小説を書いたのは、高校生の時だった。言葉へのこだわりが常にあり、それに苦しめられることも、救われることもあった。今後どんな作品を書いてゆくのかは分からないが、書くことに真摯でありたいし、しがみついていきたい。
(なかむら・りさと)

受賞作『砂漠の青がとける夜』

東京で雑誌編集をしていた瀬野美月は、姉の菜々子が亡き父親から譲り受けたカフェを手伝うため、京都に移り住んだ。そんな美月の前に、どこか現実感がない大人びた中学生の準が現れ、交流を深めるうちに、東京で抱えていた葛藤が消え、自分の中に新しい言葉が生まれるのを感じたのだった。

第26回 フジテレビヤングシナリオ大賞

未発表のオリジナル脚本を募集。テーマは自由。大賞受賞者には賞金500万円が贈られる。原則として大賞・佳作のうち1 編は映像化し、放送される。

受賞者:倉光泰子

倉光泰子

くらみつ・やすこ

1983年、埼玉県生まれ。東京芸術大学映像研究科脚本領域卒業。好きな作家は谷崎潤一郎。趣味はボーリング。受賞作『隣のレジの梅木さん』は2014年12月に実写ドラマとして放送された。

挑戦しなければ
何も始まらない
 幼少期から映画が大好きで、高校生くらいのときには脚本家になりたいと思っていました。しかし、その気持ちに具体的な行動が伴うまでにはかなりの時間を要しました。
 大学院で脚本の勉強をし、卒業後は映画の制作会社で働きました。プロデューサーと近い距離にいたものの、臆病な私は脚本を書きたいというアピールが出来ず、ひたすらウジウジ。だからといって、コンクールに応募する勇気はない。前に進めない状況が何年も続いていました。
 そんな中、結婚、出産を経て、自分の夢から離れる生活が始まりました。そういう時間も気に入っていたのですが、子どもが保育園に通うようになった頃から心境に変化が現れました。やりたい仕事と育児をきちんと両立させている人たちが何人もいたのです。周りに刺激され、「このままではいけない」、と切実に思うようになりました。そして、ついに「コンクールへの挑戦」という行動に移ることができたのです。
 とはいえ、ヤングシナリオ大賞への挑戦は、私にとって宝くじを買うようなもの。ダメで当たり前。そう思っていたので、構成云々や、テレビ向きかどうかなどは全く考えませんでした。日中は仕事、夕方からは育児と家事。子どもの寝た後の僅かな自分の時間が私の書く時間です。限られているからこそ、とにかく楽しんで書けるような作品にしたかったのです。その作品で大賞をいただけたのだから、「ラッキー」の一言に尽きます。一生分の運を使った気分です。
 たとえ運で得た大賞だとしても、このきっかけを逃したくはありません。やっと脚本家としてのスタートラインを踏むことが出来たのです。これからが私の勝負。大きなチャンスをいただけたことに感謝し、がむしゃらに邁進していこうと思っています。
 今回の経験で痛感したことがあります。「挑戦しなければ、何も始まらない」ということです。たった一つの挑戦で、人生の流れを激変させることもあり得る。世の中は不思議なことばかりです。
(くらみつ・やすこ)

受賞作『隣のレジの梅木さん』

昼はスーパー、夜はラーメン屋で働くフリーター、梅木響子。周りから「社会の底辺」と言われているが、美味しいラーメンを作りたいという夢を抱きながらマイペースに生きている。ある日、妊娠が発覚。予想外の出来事に動揺し、不安に襲われる。そんな時、彼女を取り巻く人々も同じように深刻な悩みを抱えていた。

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