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受賞のコトバ 2015年5月

第18回 岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)

新たな視点や表現技法によって創作された芸術作品を募集。美術のジャンル意識を超え、審査員を驚かす「ベラボーな」(岡本太郎がよく使った言葉)作品が期待される。岡本太郎賞受賞者には200万円が贈られる。

受賞者:Yotta

ヨタ

木崎公隆、山脇弘道のふたりによる現代アートのユニット。ふたりとも大阪府生まれ。ジャンルや枠組みを横断し、多様な価値の創造を目指して活動を続けています。現在は自分達のアイデンティティを顧みる「イッテキマスN I P P O N 」シリーズを製作中。プロジェクト形式で“モノとコト”を創造している。

石焼き芋を移動販売する=パフォーマンス活動
 去年(2014年)の3月、その日も私達は路側で「石焼き芋」を販売していた。ちょうど暖かくなり始めた頃で、そろそろ石焼き芋シーズンも終わりかなぁ、などと思っていた頃、ふと、岡本太郎現代芸術賞(以下TARO賞)のことが頭を過ぎった。
 私達の受賞作品「金時」を簡単に表現すれば、「高級セダン車にデコトラ風装飾と焼き釜を載せて石焼き芋を移動販売(=パフォーマンス)する」というもので、もっと端的に表現すれば「派手な石焼き芋屋」ということになるだろう。都内での販売を2014年の3月と、11月から2015年の3月まで行ってきた。焼き芋シーズンが11月?3月までで、私達の作品「金時」の活動シーズンでもある。
 そういった訳で「現代芸術賞と石焼き芋」という一見ミスマッチとも思える出だしとなった。「金時」の日常的な販売(=パフォーマンス)活動は、去年からだが、「金時」を製作したのは2010年のことだ。だから、TARO賞に応募する目的で製作した訳ではないし、私達の活動を私達はアート活動だと信じているけど、この作品がいわゆるアートの世界ではどう評価されるのか、というのは正直なところでもあった。いや只々、審査員の先生方と話をしてみたかっただけかもしれない。
 私達は受賞式後も、「第18回 岡本太郎現代芸術賞展」会期中の週末は「川崎市岡本太郎美術館」でのパフォーマンス活動を、平日は都内でのパフォーマンス活動を行っている。美術館内外でも、審査員の方々、美術館職員の方々にはお世話になりっぱなしだし、展覧会を通じて出会った方々にも大変お世話になっている。
 私達が幼かった頃、「焼き芋屋」がまだ町をゆっくり走っていたあの頃、家の外や道端にもコミュニケーションと想像力がまだ辛うじて残っていた。焼き芋屋の変な歌や、豆腐屋の鈴の音や、チャルメラのラッパの音が、「騒音」になる前の話だ。
 寒空の下、販売活動していて知らない方から「TARO賞おめでとう」などと声をかけられる度にTARO賞を大切に思っている人達の気持ちの大きさを知る。路側でお客さんと話をしていると、そろそろ暖かくなり始めたなぁ、と気がつく。また来シーズンに会いましょう!

受賞作『金時』


第1回 林芙美子文学賞

北九州ゆかりの作家・林芙美子にちなみ、短編小説を対象とした「林芙美子文学賞」を創設、作品を募集。大賞受賞者には賞金100万円が贈られ、作品は『婦人公論』に掲載される。選考委員は井上荒野、角田光代、川上未映子。

受賞者:井岡道子

いおか・みちこ

1950年、愛媛県生まれ。成安女子短期大学卒業。グラフィックデザイナー。好きな作家は中上健次、カズオ・イシグロ、ガルシア・マルケス、梨木香歩。趣味は観劇、映画鑑賞。受賞作『次ぎの人』は『婦人公論』4月14日号に全文掲載された。

小石を拾い上げて
「林芙美子文学賞募集」なんと強く惹かれるタイトルでしょうか。募集要項で内容を確認すると、選考委員は魅力的な三人の先生方。また、大賞作品は『婦人公論』に掲載もされるという、うれしいこと満載の賞への挑戦でした。
 十年前に小説を書こうと一大決心して始めたのですが、何をどう書けばいいかも分からず、小説教室で学びながら手探りで書き進む毎日でした。いえ、毎日というのは言い過ぎです。仕事の合間を縫って早朝か深夜です。こう書くとずいぶん苦しそうに聞こえますが、ちっとも苦じゃなくて楽しい作業でした。小説を書くのが好きだったのだと新発見です。
 少しずつ形になってきたら、目に付いた文学賞に応募を繰り返しました。応募した文学賞の予選通過が発表される雑誌の発売日には、書店に走ります。何度見ても名前がない、がっくりきて落ち込んで店を出ます。一次でも通過していたらまだしも、いわゆるゼロ次という悲惨な結果にめげそうになりながら、書くことにしがみついて来ました。
 書きたいと思うテーマやモチーフは、日常の身の回りのものばかりです。過去も現在も含めて、あちこちに転がっている小石を拾い集めているようなものですが、拾った小石は私にしか見つけることが出来なかったものだと信じることにしています。個人的な記憶や出来事が、はたしてどこまで読者に届くのか不安もありますが、普遍的なものへと向かって書いていきたいと思っています。
 今回受賞しました『次ぎの人』は、四国の山村が舞台です。私の子どもの頃の記憶や、祖母から聞いた話を元に書いています。葬列の先頭を歩き、あの世までの道案内役を務める『野ぼて』いう役割を軸にしています。『野ぼて』は、死に一番近い年寄りの役目なのですが、村の年寄りたちは、矜持を持ってこれを引き受けます。忘れかけていた田舎の出来事が、ひとつの物語を紡いでくれました。
 ここまでの道のりが長いか短いかはわかりませんが、『書く』という作業の前途は、長く厳しいものと覚悟して、しっかり取り組んでいきたいと決意もあらたにしております。

受賞作『次ぎの人』

東京でひとり暮らしをする主人公が、祖母の待つ四国の山村に帰省する。正月を目前に隣家の老人が急死。この村独特の風習の中での葬儀の準備を通して、祖母や村人たちの強さやおかしさを描く。

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