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受賞のコトバ 2015年9月

第61回 江戸川乱歩賞

広い意味の推理小説を募集。受賞作は講談社から刊行され、フジテレビによって映像化される。選考委員は有栖川有栖、池井戸潤、石田衣良、今野敏、辻村深月。受賞者には賞金1000万円と江戸川乱歩像が贈られる。

受賞者:呉 勝浩

ご・かつひろ

1981年、青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。好きな作家は有栖川有栖、横山秀夫。好きなアーティストはデヴィッド・フィンチャー。趣味は読書と映画鑑賞。現在、年内刊行を目指し第2作を執筆中。受賞作『道徳の時間』は8月5日に講談社より発売中。

自分を全力で罵倒したことも
『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞した呉勝浩と申します。
 さっそくですが、きっと皆様は通り一遍の喜びや感謝の言葉よりも、どうやったら受賞を掴めるのかに興味がおありと想像します。私自身がずっとそう思っていたからです。
 大学卒業から数年、漫然と時間を浪費していた私は楽観的でした。「いつか俺は作家になる」と根拠もなく思っていました。なぜなら自分は天才だと信じていたからです。大馬鹿野郎だったのです。もし過去の自分に会えるなら、金属バットを握り締めての旅になるでしょう。
 30歳になる頃、ようやく目覚めました。「あ。俺、天才じゃないわ」。きっかけはとある公募でした。都市が主催する一般向けのショートストーリーコンテストに私は軽い気持ちで応募し、そして落ちました。軽い気持ちと言いながら、けっこう自信があったにもかかわらずです。その時のショックは今でも忘れません。
「作家を目指してるとか言って、就職もせず貯金もせず、ぐーたらして、何一つ結果を出せなくて恥ずかしくないのか!」と自分を全力で罵倒しました。
 決して、コンテストのレベルが低かったという意味ではなく、阿呆な自信を一度、木端微塵にしなくてはならなかったのです。
 それから上手くいき始めた――わけでもありません。人生のプロットは長く、残酷です。直後の乱歩賞では一次落ちでした(本屋さんで名前を見つけられず卒倒しそうになりました)。
 つまり私の場合、過信との決別、「本気で書き、本当に落ちる」という現実の直視と繰り返し、それに耐える「諦めの悪さ」が受賞に必要だったのだろうと思います。
『道徳の時間』で描かれる《ある人物》は、歪な自己実現のために世界を捻じ曲げようと企てます。きっと、私が決別した過信をそいつは持っていて、その身勝手さに苛立ちながら、しかし私は自分が手放した傲慢さへの憧れも抱いているのです。
 皆様にも、そいつの《挑戦》を目にしていただければと願っております。ただし、決して真似なさらぬよう。

受賞作『道徳の時間』

町で起こる連続イタズラと、13年前の刺殺事件を追うドキュメンタリーの撮影。刺殺事件の犯人は「これは道徳の問題なのです」と残し、イタズラの現場には「道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?」という落書きが見つかる。主人公・伏見は父親として、そしてジャーナリストとして奇妙にリンクする二つの事件の真相に迫っていく。

第5回 ポプラズッコケ文学新人賞

小学校中・高学年?中学生が夢中になれるエンターテインメント小説を募集。特別審査委員は「ズッコケ三人組」シリーズの那須正幹。大賞受賞者には賞金100万円が贈られる。

受賞者:ささき かつお

ささき・かつお

1967年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本語講師。好きなアーティストは歌川国芳、さだまさし。趣味は旅行、ギター、サイクリング。受賞作『モツ焼きウォーズ 立花屋の逆襲』はポプラ社より刊行予定。

おわりのはじまり
 いったい何時から物語なるものを書き始めたかと自問するに、思えば小学校の「お楽しみ会」でコントの台本を書いていたのが起源かなと。以降、本は好きだったものの、興味の向かう先はバンドや仕事に移っており気付けば三十路を過ぎていた。
 何かの機会に応募してみたところ、これがビギナーズラックで最終選考に残ったものだから、調子こいて書いていくうちに、書くことそのものが楽しくなってきた。しかし最終選考までは残るものの、惜しくも落選が続き、はて、自分の小説には何が足りないのかと考えるようになる。
 それで家人の勧めもあり小説講座に通うことにした。そこでの数々の出会いは大きかった。ミステリーの巨匠M先生から「君は悪達者だね」とごもっともな指摘を賜り、ハードボイルドの重鎮O先生からは「プロの小説家になる人はこんなこと教えなくても書ける」と目からウロコのお言葉。それで精進を重ねても結果は出ず、とある賞の選考委員からは「この人は小説家に向いていない」というコメントをいただき、何を書いていいのか、いや、もう書くべきではないのかと心底凹んだ。
 それでも書いていた。書くことが好きだったから。
 どこに応募するかも考えず、小学生が主人公の物語を書いていたときに「ポプラズッコケ文学新人賞」の存在を知り、これはもしやと思って応募してみたのが今年の春で、今この原稿を書いている……ゴールってこんなものかも知れない。
 今、自分の前には本賞の特別審査委員でもあり「ズッコケ三人組」の作者であられる那須正幹先生からいただいたハガキが貼ってある。拙作について「子供たちも夢中になって読むでしょう。これを機に次作、三作と挑戦してください」のお言葉。嬉しい。本当に嬉しい。ありがとうございます。
 自分の創作は人との出会い、その方々の支えで成り立っているのだと痛感しています。その感謝を忘れず今後も精進を重ねて「夢中になって読んでもらえる」作品を作っていきたいと思っています。
 おわりのはじまり。
 さあ、書くぞ。

受賞作『モツ焼きウォーズ立花屋の逆襲』

小学6年生の立花タケルは、再開発のため商店街から立ち退きをせまられている「モツ焼き立花屋」の4代目。ある日、親戚のババ様から驚きの真実を告げられる。それは、立花家は忍びの血を継ぐ一族であり、姉や母は、代々伝わる不思議な石の力で妖術が使えるというものだった! 立ち退かせのプロ・横木の猛攻を前に、家族は一致団結して、お店を守ることができるのか――!?

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