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受賞のコトバ 2015年11月

第2回 暮らしの小説大賞

「暮らし」と「小説」をつなぐ新しい文学賞として「暮らしの小説大賞」を設立、小説を募集。受賞作品は単行本として出版し、規定の印税が支給される。

受賞者:丸山浮草

提供/産業編集センター出版部

まるやま・うきくさ

1966年、新潟県生まれ。新潟大学法学部卒業。コピーライター。好きな作家はJ・D・サリンジャー、レイモンド・チャンドラー、村上龍、村上春樹、高橋源一郎。好きな映画は「地獄の黙示録」「パルプ・フィクション」「ルパン三世 次元大介の墓標」など。受賞作『ゴージャスなナポリタン』は 10月16日に産業編集センターより刊行される。

私の潜伏期間
「潜伏期間30 年、綾小路きみまろでございます」という稀代の漫談家の自己紹介を聞いた時は、うわー30年かー、そら大変だわー、なんて普通にビックリしたのですが、自分も最初に小説を書いたのは20歳くらいで、今は48歳だし「潜伏期間28年、丸山浮草でございます」と挨拶しても、まったく冗談でもなんでもない年月が経ってしまい、かと言って、それが大変だったか? というと意外にそうでもなくって、淡々とした日々のなか、ひょっこり賞をいただいたみたいな感覚もあり、そもそも友人に居酒屋で「賞を取ったよ」と言ったところで「へー、でもレッドアイにタバスコ入れるのは通だね」みたいな、どこか脱臼したような返事しかもらえないこともあって、今回の受賞に関しては、実は今自分は死の床についていて「自分の人生こうだったらなあ」的な幻を見ている最中なのではないかという疑念がマジでリアルにありまして、これが30歳そこそこくらいの時だったら、某文学新人賞の最終選考に残った上で昭和文学の重鎮の方々から、クソミソに批判された経験もあるため「あー賞を取りてー!」とギラギラしていたように思うし、事実、公募ガイド様の愛読者でもあったわけですが(ありがとう!)、35歳を過ぎたあたりから「賞とか関係なく、ずっと書いてしまうんだろうなあ、死ぬまで」みたいな感覚になってきて、もっと言うと、ものを書くことが「挑戦するイベント」ではなく「普通の日常」になってしまい、そうなってみると、まあ、ぼんやり書き続けた28年間も「努力」とか「苦労」などというものとは、またちょっと違う「いつもの毎日」の一部になって、夜中にニヤニヤしながら「この展開おもしれー」とか、なんか、いろいろ考え、書くことが、普通に、すごく、楽しかったなあ! というのがホントのところでありまして、できればこの先も、自由に楽しく面白いなあと思える文章を書きながら、その作品が、少し不思議で、けっこうバカで、ちょっとは生きる役に立つものになっていたら、これはとっても幸せなことだし、そういうものを書ける人になりたいなあ、と思っている昨今であります。

受賞作『ゴージャスなナポリタン』

40歳を越えて独身、親と同居のひとりっ子、ともふささんは北陸地方のとあるデザイン会社勤務。仕事はなかなかできるのだが、私生活は…。アラフォー世代の姿をリアルに描いた「俺の暮らしはどうなるのだろう」小説。選考会をざわつかせた平成のポップノベル、堂々登場!

第2回 新潮ミステリー大賞

ストーリー性豊かな、広義のミステリー小説を募集。大賞受賞者には賞金300万円が贈られる。選考委員は伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介。

受賞者:一條次郎

提供/新潮社

いちじょう・じろう

1974年、福島県生まれ。福島県在住。山形大学人文学部卒業。受賞作は新潮社より2016年1月に刊行される。

小説は自由だからおもしろい
 だれがこんなものを読むのだろうとおもいながら書いています。いつも好きなように書いているだけなのです。おもしろいとかんじているのは自分だけなんじゃないのかという気もしています。それも書いているときだけのことで、書きおえたらべつにどうということもないのですが。 それは受賞前も受賞後もあいかわらずです。まあ好き勝手に書いているとはいっても、だれかをおもしろがらせたいという気持ちは当然あります。おもしろいとおもってくれる人がひとりでもいるのと、ひとりもいないのとでは全然ちがうものなのだなと受賞してからおもったりしまし た。
 人におもしろがってもらうのは大事ですが、だからといってみんなはこういうものが好きなのだろうなどと考えて予測して調査して企んで目論んで媚びを売って騙して欺いてほくそ笑んで書くのはめんどくさいしつまらないです。そんなふうに計算をして書かれた小説は読者としてもあまり読みたくないような気がします。小説はなにをどのように書いても自由だとおもいます。バランスなんて歪でいいし、小説作法といったものを厳守しなければいけないこともないし、必要なら文法だってまちがっていてもかまわないとおもいます。なんでもありだとおもいます。だからおもしろいんじゃないかなとおもいます。そうでなければ読むのも書くのもいやです。たぶんわたしは考えがあまいのでしょう。
 いつもどおり一次選考で落ちるとおもっていたので、予選を通過していたのを知ったときには、変わったこともあるものだなとかんじました。それから受賞の知らせをきいて、ずいぶんおかしなことがおきているみたいだとおもいました。それくらい自分の書いたものが受け入れられる のは難しいことだとおもっていたのです。あらゆる賞はこれまでにないものを探しているのでしょうが、新潮ミステリー大賞はとりわけその幅が大きいのかもしれません。こういう許容範囲の広い賞がたくさんあるといいとおもいます。

受賞作『レプリカたちの夜』

動物のレプリカをつくる工場で働く往本は、残業中の深夜、動くシロクマを見かける。しかし、この世界では、野生のシロクマはすでに絶滅したはずだった。翌日、同僚の粒山に、前夜の出来事を話していると、立ち聞きした工場長から呼び出される。彼もまた、シロクマを目撃していたのだ。工場長からシロクマの正体を突き止めるよう命じられ、往本は捜査を開始するが――。

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