たかさき・まりこ
1989年、新潟県生まれ。電通 ECプランナー。津田塾大学卒業。好きな作家は萩尾望都、寺山修司、椎名林檎、柴田亜美など。

第51回 宣伝会議賞

協賛企業40社から出題された、商品・サービス・企業広告などの課題に対して、広告コピーもしくはCM企画の作品を募集。グランプリ受賞者には100万円が贈られた。クリエイターの登竜門としても知られる。
主催 宣伝会議

高崎真梨子さん

自分のやり方で
コピーと向き合いました

 3年前、初めて宣伝会議賞に応募したときは、コピーと言われても何を書けばいいのかわかりませんでした。周りも盛り上がっていることだし、一応自分も出しておこうかな程度の気持ちで、コピーではなく、CMコンテを1点だけ出しました。ビギナーズラックで、1次は通過しました。
「あなたはコピーが書けないね」と明確に言われたのは、そのころでしょうか、プランニングの基礎力を高めようと通い始めた宣伝会議の講座でのことです。もとから、自分の言葉に自信がなかったので、そのことを突かれた気がしてとても凹みました。その悔しさもあって、2回目の宣伝会議賞も挑戦しよう、そのときはコピーを出そうと思いました。
 とはいっても、コピー1000本ノックなんてとてもできず……。コピーに関する本を読んでみたり、他の公募の賞に応募してみたりしましたが、「コピー」を書こうとすると、余計によくわからなくなってしまいました。なので、企画書や、メールでつかう言葉にこだわりを持つようにしたり、ふと気になったことについて見方を変えて考察してみたり、リズムと音だけで言葉遊びをしてみたり……そんなことをしながら迎えた2回目は、数は書けなかったのですが、3次通過までいくことができました。
 3回目。もはや、コピーのための、コピーを書く練習はほとんどしなかったように思います。前年同様、先輩の企画書の書き方を真似してみたり、言葉の選び方やリズムに注目して小説を読んでみたり。自分にはそっちの方があっている気がしました。やはり20本くらいしか出せませんでしたが、そんなふうにして書いた1本が最後まで残りました。
 ひたすらコピーを書きまくるのももちろんありだし、私のようにコピーから離れてみるのも、もしかしたらありかもしれません。コピーライターも、コピーライターになりたい人も、どちらにも当てはまらない人も、誰もが、自由に書いて、自由に応募できる宣伝会議賞だからこそ、いろんな人にチャンスがあるのかなと思います。
(たかさき・まりこ)

受賞作

【グランプリ受賞作品】

おかん、うまい。
 でも、多い。


課題企業:旭化成
課題商品:サランラップ
ジャンル:キャッチフレーズ

さかえ・やよい
1970年、兵庫県出身。WEB デザイナー。カナダのデザイン学校(International Academy of Design)卒業。好きな作家は河合隼雄(心の師匠)、吉本隆明。受賞作『十月十日の進化論』はWOWOWによって放映予定。

第7回 WOWOWシナリオ大賞

2 時間枠の映像化を想定したシナリオ作品を募集。テーマは自由。選考委員は雀洋一ほか。大賞受賞者には500 万円が贈られ、作品は映像化される。
主催 WOWOW

栄 弥生さん

自分が本当に好きなことを突き詰めていくと
「物語をつくること」

 出産をきっかけに人生を真剣に考えるようになりました。自己啓発本や偉人伝を読み漁るうちに「仕事に一生を捧げる」という生き方に憧れ、できれば私も死の直前まで働き続けたいと思うようになりました。そのためには本当に自分が好きなことを仕事にしなければいけないと。
 当時も好きなデザインを仕事にしていたわけですが、実はそれは本気で夢にぶつかって失敗するのを恐れ、自尊心を部分的に満たす仕事、少しの努力で実現できることを無意識に選んでいただけだったのです。
 自分が本当に好きなことを突き詰めていくと「物語をつくること」でした。昔から空想・妄想好きで、気がつくと現実とは違う別の物語を頭が勝手に進めてしまうこともありました。これをなんとか稼業にできないものかと考えて辿り着いたのが脚本家という選択でした。
 脚本を書くことを生業にしたいと思った時にはもう三十九歳。それから書いては応募を繰り返し、五年間のあがきがやっとWOWOWシナリオ大賞で結実しました。
 今回受賞した作品は、予期せぬ妊娠をしてしまった昆虫博士が出産するまでの成長を描いた物語です。優秀な学者だけれど、独りよがりでうまく社会と折り合いをつけることができない女性が主人公。自身の妊娠さえ、まるで他人事のように好奇心を満たす観察対象としてしまいます。彼女が十月十日の間、全人的に「命」に寄り添うことを強いられ、自分の弱さを受け入れ成熟していく。そんな姿を描いたつもりです。
 脚本づくりはとても楽しい。登場人物が一見災難と思えるような出来事を布石として、少しづつ考え方や人との関わりを変えていく。それを追体験していく感覚がなんともたまりません。
 自分の中からの独りよがりな要請で生まれた作品が、映像化という最高のチャンスに恵まれ、この先多くの才能ある人々によって現実の場所に着地する。期待と同じくらい不安もありますが、私自身がその過程を通してどう成長していくのかとても楽しみです。
(さかえ・やよい)

受賞作

『十月十日の進化論』

昆虫分類学の博士号を持つ小林鈴は、専門分野の狭さと奔放な性格のためポスドク契約を打ち切られ、再就職で難航していた。ある日、酔った勢いで元カレと一夜をともにし妊娠してしまう。元カレに打ち明けられない鈴は「胎児は十月十日、30数億年の進化を辿る」という神秘に興味を持ち、観察対象として妊娠を続行する。母の猛反対を受け、見つけた仕事も不安定な中、好奇心の赴くまま一人で産んで育てると言い張る鈴だったが……。               
              

たちぎ・じゅうはち
1975年、東京都出身。和光大学経済学部中退。創作活動と並行して、新陰流という古流剣術の稽古、研究に励んでいる。新陰流直毘会主宰。好きな作家は内田康夫、ジェフリー・ディーヴァー、フーゴ・ハル、三原順。受賞作は来年3月舞台上演される

第12回 北区内田康夫ミステリー文学賞

ミステリーの短編小説を募集。北区の地名・人物・歴史などを入れ込んだ作品を歓迎。大賞受賞者には賞金100万円が贈られ、作品は舞台化される。
主催 北区

立木十八さん

舞台化されるこの賞は
自分にうってつけ

 北区内田康夫ミステリー文学賞のことを知ったのは、昨年の、八月も半ばを過ぎたころだった。うだるような暑さの中、上半身裸でパソコンに向かっていた。部屋にエアコンはなかった。今でもない。
 ぼくは表向き作家を志していたものの、書いたり書かなかったりを繰り返し、たいした結果も残せないまま、はや十年が過ぎようとしていた。そもそも作品を賞に送ったことがほとんどない。結果が出ないのは当然だ。少しは真面目に取り組もうと決意した矢先だった。
 以前に劇団員だったこともあるので、大賞作品が舞台化されるこの賞は自分にうってつけではないかと、勝手にそう思い込んだのだ。
 思い込みだけは人一倍強い。たいがい悪い方に向かう。
 それはともかく、なにを書こうか考えた。締め切りまでは一ヶ月ほどしかない。短編の賞だった。しかもミステリーだ。はっきりそのジャンルで書いたことはなかったから、かなり悩んだ。悩んだあげく、どういうわけか子どもの話を書くことに決めた。
 将来は名探偵になりたい。そう祖母に告げたのは、小学校低学年ごろのことだったろうか。馬鹿を言うなと一喝された。当時読み始めた子ども向けのシャーロックホームズや少年探偵団シリーズの影響だった。駄菓子屋で買ったおもちゃの虫眼鏡を片手に、近所の地面を観察してまわった。落ちていたボルトやネジを拾って帰り、なにか事件につながってはいないか推理をした。もちろんなにもわからなかった。
 ちなみに探偵の前は、忍者になりたがっていた。腰に長い布を巻き、地面につけないよう走る訓練をした記憶がある。できれば忘れたい。
 そういった思い出をお話にできないか。そんな軽い気持ちで書き始めたのがまずかった。前述のとおり失敗談や馬鹿話はたくさんあったが、ミステリーにできそうなエピソードはまるでない。だから書いた話は、まったくの創作になった。
 結果的にはそれがよかったのかも知れないが、どうだろう。
 いまだに謎である。
(たちぎじゅうはち)

受賞作

『友情が見つからない』 

五年五組の「山田孝紀」の前に謎の少年マコトが現れる。彼は孝紀の盗まれたゲームカセットと、その犯人を捜していたのだが……。              

              

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