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翻訳権・翻案権(2007年12月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

翻訳権・翻案権

既存の作品を基にした創作にはどんな権利が関係するのでしょうか?

 

既存の著作物を基にして、翻訳、編曲、脚色、映画化などを行う場合には、翻案権に注意が必要です

 

外国の小説を日本語に翻訳したり、既存の音楽作品を編曲したり、絵画を基に彫刻作品を創作したり、演劇用の台本をつくるために小説を脚色したり、脚本から映画化したりすることは、既存の著作物に依拠して、いわゆる「二次的著作物」(例で言えば、翻訳作品、編曲作品、彫刻作品、演劇用台本、映画のこと)を創作する行為であり、「翻案権」(著作権法27条)という権利の対象となる行為です。


既存の著作物の利用については、おおむね3つのカテゴリーに分けることができます。まず、第一に、既存の作品への依存が最も大きな「複製」に当たる場合が挙げられます。既存の作品に加工改変を加えていても、その程度が軽微で創作性のない場合には「複製」の範ちゅう内であり、「複製権」の対象です。既存の文章の前後の入れ替えや用語の手直し程度では、まだ「複製」の範ちゅうにとどまる行為と言えましょう。

 

第二に、既存の著作物のストーリーや人物設定などを下敷きにしていても、新たな創作性を加えて既存の著作物とは別の著作物を創作する場合があります。翻訳は別の言語で表現し直すものであり、脚色も演劇用に表現し直しています。映画化は映像や音によって脚本とは別の表現を生み出すものです。このような場合に翻案権の問題となるのです。


第三に、既存の著作物で示されたアイデアや事実を利用するものが挙げられます。著作権は、アイデアや事実それ自体は保護しないために、これらの利用は自由で、複製権や翻案権の問題とはなりません。過去の文学作品の著名な人物キャラクターを利用して新しい物語を創作したり、人気放送番組の構成をまねしても、アイデアの利用にとどまる限りは著作権法上自由です。争いが生じやすいのは、第二のケースとして翻案権の対象となるのか、第三の自由な利用ができるケースなのかの境目の場合です。結局は、既存の作品の創作的な部分(著作権で保護される部分)をどの程度利用しているかによって決することになります。

 

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2007年12月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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