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スナップ写真の著作権(2008年3月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

スナップ写真の著作権

家族のスナップ写真にも著作権はあるのでしょうか?

 

スナップ写真でも著作権により保護されるものが多いでしょう。

 

写真は、著作物の代表的な例の一つで、著作権法でも著作物の例示に掲げています(10条1項8号)。しかし以前は、写真はカメラの機械的な作動の産物であって、他の著作物と比較して創作性が低いという認識があったようで、旧著作権法では美術などの著作物と比べて一段低い保護が与えられていました。

 

例えば、保護期間については、他の著作物が原則「著作者の死後38年まで」であったのに対して「発行後13年まで」と格差がありました。1970年制定の現行法でも当初は、写真の保護期間は、個人名義であろうと団体名義であろうと一律に公表後50年までとして、他の著作物とは異なる取扱いをしていた時期もありました。現在はこのような格差はなくなり、他の著作物と同様な取扱い(例えば、個人名義であれば著作者の死後50年まで)となっています。  


さて、写真の著作物性についてはプロの写真家が撮影した写真が争点になるケースが多いのですが、家族が撮影したスナップ写真(家族が子どもを抱きかかえた姿を庭を背景に撮影したもの)の著作物性を争った事件があります。この写真を書籍に無断掲載した被告は、写真の創作性を決める露光その他の撮影上の創意工夫が希薄なスナップ写真には創作性がないと主張したのですが、東京地裁平成18年12月21日判決は、スナップ写真でも「被写体の構図やシャッターチャンスの捉え方」に創作性があり、著作物として認められるという判断を示し、著作権侵害に当たることを認めました。控訴審である知財高裁平成19年5月31日判決でも、著作権侵害という判断を維持しました。

 

なお、控訴審で被告は、新たに、この事件での写真の利用は著作権法32条の「引用」に当たり、著作権侵害ではないと主張しましたが、裁判所は、引用は「公表された著作物」を利用する場合に適用されるが、このスナップ写真の場合、公表された事実が立証されていないから引用には該当しないと判断しています。家族の様子などを撮影したスナップ写真の場合には確かに「未公表」として引用に該当しないケースが多いと思われます。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2008年3月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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