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写真を基にした水彩画の制作(2008年6月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

写真を基にした水彩画の制作

写真を基に水彩画を制作した場合、写真の著作権に触れますか?

 

場合によっては、写真の翻案にあたって、著作権侵害となります

 

写真と絵画とは別の種類の著作物で、それぞれ表現形式は異なりますが、写真を基にして絵画を描いた場合でも、写真の利用方法によっては写真の著作権に触れ、無断で行えば著作権侵害となる場合があります。


京都・祇園祭の中の一瞬の風景を撮影した写真を基にして水彩画ポスターを制作したケースについて、東京地裁平成20年3月13日判決は、水彩画の制作は写真の翻案にあたり、無断制作は写真の著作権を侵害するとの判断を示しました。判決では、問題の写真について、一瞬の風景を構図や撮影ポジション・アングルの選択、露光時間、レンズ及びフィルムの選択等を工夫して撮影し、風景を再現した点に創作的表現を認め、その写真に依拠して描かれた水彩画については、写真とは表現形式が異なり、デフォルメされている部分もあるが、写真の全体の構図とその構成において同一であり、写真の表現の特徴的な部分が水彩画においても認められることから、著作権法上の「翻案」にあたる「写真の表現上の本質的特徴を直接感得することができる」場合であるとしたのです。


写真を写真として増製したり、複写機でコピーしたりすることは「複製」という利用方法にあたりますが、上記の水彩画事件のように表現形式が変わった場合には、本件写真のような基になった著作物(原著作物)に依拠しながらも絵画表現として新たな創作的要素が加わりますので、複製ではなく「翻案」にあたるかどうかが問題となります。翻案にあたるかどうかは、まず原著作物の創作的表現の部分を明確にした上で、新たな著作物がどの程度原著作物の創作的表現に依拠しているか、つまり「表現上の本質的特徴」を利用しているかが判断のポイントになります。しかし、他人の写真を絵画制作の際に使用したとしても、例えば、土地や建造物などの形状や細部などの確認のためやイメージをつかむために参考資料として用いることにとどまっている場合には、翻案と異なり写真の創作的表現に依拠しているわけではないので、「複製」でも「翻案」でもなく、著作権法上自由に行える行為であると考えられます。

※この記事は、「月刊公募ガイド」2008年6月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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