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口述に基づいた記事の著作権(2008年11月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

口述に基づいた記事の著作権

他人の口述内容をまとめた記事はだれが著作権を持つのですか?

 

他人の口述内容のまとめ方に創作性があれば、口述した人だけではなく、それをまとめて記事を作成した人にも著作権があります

 

他人が口述した内容を速記や録音をしておいて、それを文章に起こす場合、口述内容をそのまま文章化しただけならば、その文章の著作権は口述を行った者自身が持つと考えられます。文章化を行った者の行為は、機械的な作業であって、著作物の「創作」には当たらないからです。


しかし、他人の口述内容に基づきながらも、文章の構成や表現などに取材者が自分なりの創意工夫を加えながら、取材対象者とともに文章を練り上げていった場合には、両者が創作的な寄与を行ったと考えられますから、共同著作物として両者が著作権を共有することになります。


ある人物の自叙伝を作成するにあたって、ドキュメンタリー作家がその人物の口述を基に執筆して完成させた場合、完成した書籍の著作者はだれかが争われた事件で、東京地裁平成20年2月15日判決では、まず、作家について、本件書籍の文章表現において、単に対象人物の口述表現を書き起こすだけといった「補助者」としての地位にとどまるものではなく、自らの創意を発揮して創作を行ったものと認められること、次に、対象人物も、自らの体験、思想及び心情等を詳細に作家に対して口述し、その口述を基に作家が執筆した原稿について、自ら確認し、加筆や削除を含め表現の変更を指摘することを繰り返したのであるから、本件書籍の文章表現の創作に従事したものと認められると判断しました。その上で、本件書籍の文章表現は両者が共同で行ったものであり、各人の寄与を分離して利用することができないものであるから、両者の共同著作物であって、作家も著作者の一人に当たると判断しました。


一方、新聞記事などでは、記者が政治家や有識者などに取材し、その発言を取り込んで記事を作成する場合がありますが、それぞれの発言の重みは別として、著作物として認めるに足りないような短い発言などの場合には、記事の著作権は記者(法的には新聞社)の単独の著作物と考えられます。結局、創作的寄与の有無が決め手となるのです。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2008年11月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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