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著作者名の表示の法的効力(2008年12月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

著作者名の表示の法的効力

著作者名を表示するとどのような効果がありますか?

 

その著作物の著作者であるという法律上の推定を受けられます

 

著作物の創作現場は、通常公開されていないので、創作したと言っている者が本当にその著作物を創作した者(著作者)なのかどうかは外部からは判定しにくいものです。しかしながら、著作権は、著作者に与えられる権利ですから、著作者はだれかがはっきりしていないと、権利関係が不明確になってしまい、円滑な利用を妨げることになりかねません。そこで、著作権法では権利関係を明確にするために、著作物に著作者(著者、作者など)として氏名を表示した者をとりあえず著作者として法的に推定することとしています(著作権法14条)。「推定」なので、表示された者が実際には創作した者ではないという確実な反証が挙がれば、推定はくつがえることになりますが、反証のない限りは、表示された者が法律上の「著作者」として取り扱われることになります。


企業や官公庁などの採用試験や人事異動の参考資料として利用されることの多い「性格検査」の用紙に掲載された「質問項目」という著作物の著作者はだれかが争われた事件では、この「著作者の推定」の効力が焦点となりました。大阪地裁平成20年6月19日判決では、本件質問項目が掲載された検査用紙に「著者」として複数の者の氏名が表示されており、それらの者は著作物である「質問項目」の公衆への提供又は提示の際にその実名が著作者名として通常の方法により表示されている者であると認められるから、著作権法14条によって著作者として推定される。様々な事実関係に関する検討結果に照らしても、この推定をくつがえすに足りる反対事実は認められないから、共同著作物の「著者」と表示された者は著作者の一人として著作権を共有すると判断しました。著作者名の表示が実際の裁判でも大きな法的意味を持った事件でした。


無名(匿名)や変名(周知の変名を除く)表示の場合には、その表示によって著作者を社会的に認知できませんから、この「著作者の推定」という法的な効力も発生しません。氏名表示権の行使の一環として、著作者名の表示は権利保護の上で大事なことなのです。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2008年12月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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