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児童向け漢字教材の著作権(2009年5月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

児童向け漢字教材の著作権

同じテーマを扱う教材はどうしても類似しがちですが、著作権侵害になるのでしょうか?

 

個々の記述の表現の仕方を比べて侵害かどうかを判断します

 

学習教材や教科書などは、分野にもよりますが、学習者のレベルや取り扱うべき内容が同一である場合にはどうしても表現が類似した記述になることが多く、教材間で著作権侵害の争いが生じることがあります。前にもこの欄で説明したように、著作権は表現を保護するが、アイデアは保護しないという原則があり、また、だれが書いても同じような表現になるものは「ありふれた表現」として著作権では保護されません。


外国人児童向けの漢字教材について、記述内容が類似しているとして著作権(翻案権)侵害の有無が争われた事件があります。例えば、両者の最も基礎的な教材を比較してみると、①教材を構成する課の数が20であること、②学習するすべての漢字が1頁以内に収められていること、また、③同一の課で学習する漢字の組合せが「一二三四五」「上中下」「山川水火」などの組合せを採用している点が同一であることなどの類似があります。しかし、東京地裁平成20年10月23日判決では、①と②については、どちらも表現それ自体ではなくアイデアにおいて共通するにすぎないこと、また、③の漢字の組合せは「平凡かつありふれたもの」であって、著作権法では保護されないと判断しています。

 

また、「上」「中」「下」という概念を表現するために、両教材とも、机の上、机の中、机の下にそれぞれ物が置かれているイラストを用いていることなどの共通点がありますが、この点についてもアイデアにおいて共通するにすぎず、また、イラストの表現も、机に置かれている物自体や机の表現方法が異なっていることから、著作権法上の「翻案」に当たらないと判断しています。他の類似点についても同様な判断を行って、全体として両者の教材間では著作権侵害は成立しないと結論づけています。


このように取り扱うべき題材が同一又は類似している場合には表現が類似してくるのはやむを得ないことで、結局は、個々の記述の表現方法でいかに作成者が個性を発揮するかにかかっていると言えましょう。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2009年5月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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