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書籍のタイトルの著作権(2009年6月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

書籍のタイトルの著作権

書籍等のタイトルで独創的なものには著作権があるのでしょうか?

 

独創的なアイデアのタイトルでも著作権はないのが通例です

 

斬新なタイトル(題号)や個性的なタイトルはその作品への興味関心を高めますから、出版などにあたっては様々な工夫がこらされます。また、題号は、作品を特定する大事な「目印」でもあり、作品の内容をシンボリックに表示している場合もあります。

 

このように著作物の題号は著作物本体と密接な関係があるので、著作権法では、著作物の題号を著作者の意思に反して勝手に改変することは著作者人格権(同一性保持権)の侵害にあたるとしています(20条)。しかし同時に、著作物とその題号とは明確に区別しており、題号を著作物と認めているわけではありません。むしろ題号だけを捉えた場合には、それがいかに斬新で個性的であっても、著作物には該当しないとするのが一般的な解釈です。


時効という法律制度に関する法律実務書で「時効の管理」というタイトルで一連の書籍を出版していた著作者が、「時効管理の実務」というタイトルで同様の法律実務書を発行している団体等を著作権侵害で訴えた事件がありました。この事件では、法律実務書の内容自体ではなく、まさに「時効の管理」という題号に著作権が認められるかが争点となりました。

 

原告は、「時効の管理」という表現は、時効について権利義務の一方当事者が主体的にこれを管理しコントロールすべきであるとの視点から再認識した思想を創作的に表現したものであって、著作物に該当すると主張しましたが、大阪地裁平成20年5月29日判決はその主張を退け、その控訴審である大阪高裁平成20年10月8日判決でも、「時効」は、時効に関する法律問題を論じる際に不可避の法律用語で、また、「管理」は日常よく使用されて民法上も用いられている用語であり、それらに「の」をはさんで組み合わせた「時効の管理」は「ありふれた表現」であって著作物には該当しないとの判断を示しました。


俳句などをそのまま題号とする場合は別として、題号に込めた思想がいかに独創的なものであったとしても、題号それ自体は「ありふれた表現」や単なる単語であり、著作物として認められることはありません。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2009年6月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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