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美術作品や建築物の写真撮影(2010年10月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

美術作品や建築物の写真撮影

風景写真を撮ろうとしたら、街路に展示してある彫刻やその背後の建築物が画面に入ってしまいました。著作権法上、問題ですか?

 

公開の美術作品や建築物の場合は、著作権法上、問題ありませんが、所有者の施設管理権との関係に注意が必要な場合があります

 

美術の原作品(絵画や彫刻など)を美術館などで写真撮影する場合には、私的使用のための複製(著作権法30条)などに該当しない限り、その著作権者の許諾が必要となります。しかし、彫刻などの美術の原作品が公園や街路などの公開の場所に恒常的に設置されている場合には、特別の規定があり、絵はがきなどの販売や彫刻のレプリカを作成することを除いて、自由に利用できることとされており(同46条)、写真撮影や画像の出版物への掲載などが著作権法上問題になることはありません。また、建築物についても同様に、模倣建築を行う場合を除き、自由に利用できることとされていますから、写真撮影などは自由です。


一方、美術作品や建築物などの写真撮影に際して、美術作品の所蔵者や建築物の所有者が写真撮影を禁止したり、許可制にしたり、撮影された画像の利用に条件を付ける場合があります。これは、著作権の作用によるものではなく、美術館等の所有権に基づく「施設管理権」によるものと考えられます。既に著作権が消滅したお寺の建物や仏像などの撮影にお寺が一定の条件を付けるのも、同様の関係に立つものです。


しかし、既存の写真集から美術作品や建築物の画像を利用するなど、その現物を直接利用しない場合まで施設管理権が及ぶわけではありません。中国唐代の書家の墨蹟を既存の写真から出版物に掲載したケースについて、最高裁昭和59年1月20日判決は、所有権と著作権を区別し、墨蹟の原本の所蔵者からの出版差止めなどの請求を退けました。最高裁は、所有物の直接の利用を超えるところまで所有権の作用を広く認めると、著作権法が保護期間を定めた意義が失われてしまうと述べています。既存の写真集から美術作品などの画像を利用する場合には、所有者の所有権よりはむしろその写真(絵画の複製写真を除く)の著作権や、撮影された美術作品の著作権に注意を払うことのほうが重要です。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2010年10月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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