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著作権事件から~写真の所有者~(2010年11月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

著作権事件から~写真の所有者~

古い肖像写真を印刷して利用する場合、その写真の所有者の許可を得ることが必要ですか?

 

著作権の問題ではなく、所有権がどこまで及ぶかという問題です

 

京都市内の郵便局では、坂本龍馬やその妻お竜、寺田屋などの写真をあしらった「龍馬が駆け抜けた町 京都・伏見」という10枚組の切手シートを販売していましたが、「お竜」の肖像写真が写真所有者の許可を得ていないのではないかという指摘を受けて、郵便局は7月にこの切手シートの販売を中止したという報道がありました。


写真の著作権の保護期間は現行著作権法では原則として写真の著作者の死後50年までとされていますが、幕末の頃に撮影された写真の場合には既に著作権は消滅していると考えられます。したがって、「無断使用」といっても著作権の侵害かどうかという問題ではありません。


新聞では写真所有者の許可の問題と報道されています。著作権と著作物の現物の所有権の関係について、次のような判例があります。中国唐代の有名な書家の書を印刷・出版したことに対して、書の現物を所蔵する法人が所有権侵害として訴えた事件で、最高裁昭和59年1月20日判決は、著作権の消滅後は著作権は所有権者に復帰するのではなく、何人も自由にこれを利用しうるものであり、第三者の複製物の出版が有体物としての原作品(筆者注:書の現物)に対する排他的支配をおかすことなく行われた場合には、原作品の所有権者に経済上の不利益が生じたとしても、それは第三者が著作物を自由に利用することができることによる事実上の結果であって、所有権侵害ではないと判断しています。


博物館や美術館などの所蔵作品を直接写真撮影する場合には、まさに有体物としての原作品を写真の被写体として使用することになりますから、所有者である博物館等は所有権に基づいて許可を得ることを求めることができる立場に立ちます。しかし、既に他の経路で出回っている写真等の複製物を用いて印刷発行する場合には、その原作品を所蔵する博物館等も所有権を主張できないこととなります。今回の切手事件もこのような事例の一つとして捉えるべきではないかと思われます。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2010年11月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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