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著作権判例から~短い文章~(2010年12月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

著作権判例から~短い文章~

1行程度の短い文章にも著作権が認められるのでしょうか?

  

表現の幅が狭くなり、創作性が認められにくくなります

 

著作物としての創作性は著作物の分量によって判断されるものではないので、短い文章でも創作性があり著作物として認められる場合があります。日本伝統の短歌、俳句などは字数の制約がありますが、一般に著作物として認められます。しかし、字数の制約は表現上の制約につながる場合が多いので、創作性が認められる範囲は狭まるのが通例です。著作権は表現を保護し、アイデア(思想・感情)を保護しないのが原則です。また、表現であっても「ありふれた表現」は保護しないとされています。表現の幅が狭い場合には、アイデアの保護と実質的に同じ結果となりうることや「ありふれた表現」となることが多いといえます。


神奈川県知事の著書が別のノンフィクション作品の著作権侵害に当たるかが争われた事件では、東京地裁と知財高裁の判断が分かれました。

 

東京地裁平成22年1月29日判決では、ノンフィクション作品の「正造が結婚したのは、最初から孝子というより富士屋ホテルだったのかもしれない。」という文章に著作物性を認め、知事の著書にある「彼は、富士屋ホテルと結婚したようなものだったのかもしれない。」という記述は、著作権(複製権)侵害に当たると判断しました。


これに対して、知財高裁平成22年7月14日判決は、地裁の判断を覆して著作権侵害に当たらないとしました。高裁は、正造(ホテル経営者)と富士屋ホテルとの関係、「結婚したようなものだったのかもしれない」との用語の慣用性を見れば、「正造は、富士屋ホテルと結婚したようなものだったのかもしれない。」との感想を抱くことは、それ自体ごく自然なことであって、両者の文章の共通点は、「正造と富士屋ホテルとの関係という事実に関して共有されるであろうごく自然な感想という思想」というべきであり、仮に両者の文章が表現であるとしても、この「思想」をごくありふれた用語で記述したものであるから創作性が認められないと判断しています。先に述べた「アイデア」や「ありふれた表現」は保護しないという考え方に沿ったものといえましょう。

※この記事は、「月刊公募ガイド」2010年12月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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