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私的録音録画補償金(2011年4月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

私的録音録画補償金

私的録音録画補償金について機器メーカーには支払義務がないという判決が下されたようですが、これは何を意味するのでしょうか?

  

私的録音録画補償金制度における録画機器メーカーの協力義務の性格について判断されたもので、法的強制力のない抽象的な義務であって、メーカーに法的な支払義務を負わせたものではないとしました

 

家庭用の録音録画機器の普及によって音楽CDからの録音やテレビ番組の録画などが日常的に行われるようになりました。このような家庭内における録音録画は「私的複製」の一種で、著作権者等の権利が制限され、利用者はその許諾を得なくても行うことのできる行為です(著作権法30条1項)。

 

しかし、一方では無許諾の録音録画が広範かつ大量に行われることから生じる著作権者等の経済的不利益を補償するために、デジタル方式の録音録画機器・記録媒体による私的録音録画については、利用者は著作権者等に補償金を支払わなければならないとされています(同条2項)。この場合、利用者が個々の行為ごとに権利者に補償金を支払うことは困難ですから、録音録画機器等の販売にあたって補償金分が上乗せされ、利用者は機器等の購入に際して補償金を一括して支払う仕組みが設けられています(104条の2以下)。このような仕組みが実施されるためには機器メーカー等の協力が不可欠であり、著作権法ではメーカー等の協力義務を規定しています(104条の5)。


アナログチューナーを搭載していないDVD録画機器について機器メーカーが補償金支払いの協力を拒否したことから、権利者を代表して補償金を管理する団体が機器メーカーを訴えました。東京地裁平成22年12月27日判決は、アナログチューナーを搭載していないDVD録画機器は補償金対象機器に該当しないという機器メーカーの主張は退け、対象機器に当たることを認めましたが、協力義務の性格については、法的強制力のない抽象的な義務であって、補償金の支払いを拒否したからといって、法的義務の不履行にはあたらないとの判断を示しました。


この事件は控訴され、高裁の判断が注目されますが、裁判とは別に、今後、制度の在り方を巡る議論も活発になるものと思われます。


※この記事は、「月刊公募ガイド」2011年4月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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