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「廃墟写真」の著作権(2011年6月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

「廃墟写真」の著作権

先行する写真と同じ被写体を類似した構図で撮影した写真は、著作権侵害にあたるのでしょうか?

  

同一の被写体を類似した構図で撮影しても、それだけでは先行する写真の著作権侵害とはいえないと考えられます

 

著作物として認められるためには「創作性」が必要となりますが、写真の著作物における創作性については、撮影・現像等における創意工夫(構図、シャッターチャンス、照明、光量、背景など)のみならず、場合によっては被写体の選択、組合せ、配置等の創作性も考慮する考え方が一般的です。先行作品と後続作品との間で著作権侵害かどうかの問題が生じた場合には、写真の創作性を構成するこれらの要素において同一または類似するところを検証し、後続作品が先行作品を模倣したものといえるかどうかの判断を行うことになります。切り分けたスイカを皿に盛りつけた写真について、被写体の選択、組合せ、配置等についても創作性を認め、後続作品は先行作品の翻案権侵害にあたるとした事例もあります(東京高裁平成13年6月21日判決「スイカ写真」事件)。


しかしながら、このケースは被写体を写真家が相当作り込んで写真にしたもので、一般的には被写体が同一であるからといって直ちに著作権侵害となるわけではありません。廃棄された事業所や構造物などを被写体として撮影した「廃墟写真」について、先行作品と同一の廃墟を類似した構図で撮影した写真5点が著作権侵害にあたるかどうかが争われた事件で、東京地裁平成22年12月21日判決は著作権侵害にはあたらないという判断を示しました。

 

この事件で原告側は被写体の選択と構図・撮影方向に写真の創作性があると主張しましたが、判決では被写体の選択は「アイデア」であって表現それ自体ではないこと(アイデアは著作権では保護されません)、また、構図や撮影方向において共通点が認められるとしつつも、具体的な表現において異なる点も多く、写真全体から受ける印象が大きく異なるとして翻案権侵害を否定しました。

 

被写体が同一であっても写真として表現する際には自ずから撮影者の個性が表れるもので、別個独立の著作物と考えるのが基本でしょう。


※この記事は、「月刊公募ガイド」2011年6月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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