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いすのデザインの著作権(2011年8月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

いすのデザインの著作権

いすのような実用品のデザインにも著作権はあるのでしょうか?

 

  

 

いすのような実用品のデザインは、基本的には著作権法で保護される著作物には該当しません

 

  

著作権法では「美術の著作物」を保護すべき著作物の例示に挙げていますが、この美術の著作物に実用品のデザインが含まれるか否かについては議論があります。著作権法では美術の著作物に「美術工芸品」が含まれることは明記していますが(法2条2項)、実用品のデザインについては明文の規定はありません。このような実用品のデザインのことを「応用美術」と呼び、我が国の著作権法では、鑑賞目的で制作される絵画や彫刻などの「純粋美術」や、「美術工芸品」とは区別しています。それは、実用品のデザインについては、別途「意匠法」や「不正競争防止法」などによる法的保護の仕組みが設けられているからです。


ノルウェーの家具デザイナー及び家具メーカーが日本の育児用品等のメーカーを相手取って、木製いすのデザインが著作権侵害に当たると訴えた事件がありました。東京地裁平成22年11月18日判決では、応用美術については、「それが純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を備えている場合に限り」著作権法による保護の対象となりうるが、本件におけるいすのデザインは実用品のデザインであって、その外観において純粋美術や美術工芸品と同視し得るような美術性を備えていないから、著作権法の保護の対象とはならないと判断しました。なお、原告はノルウェーでは著作物として保護されているから日本もベルヌ条約により保護義務を負うと主張しましたが、裁判所はベルヌ条約上応用美術を保護するかどうかは各国の法令の定めるところによるとされているとして、条約上の保護義務を否定しています。


応用美術の保護については、このような考え方が判例の主流といえます(「おまけフィギュア」、「ファービー人形」、「仏壇彫刻」など)。


ただし、本件で、原告は、著作権侵害と並んで、商品形態の類似を理由に不正競争防止法違反も主張しました。裁判所は原告のこの主張は認め、被告の類似製品の製造、販売等の差止めなどを命じています。


※この記事は、「月刊公募ガイド」2011年8月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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