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「自炊」代行と著作権侵害(2012年9月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

「自炊」代行と著作権侵害

書籍をスキャナーで電子ファイル化する行為は著作権侵害ですか?

 

業者が行う場合、態様によっては著作権侵害のおそれがあります

 

電子ファイル化されていない書籍をパソコンや携帯端末等でも読むことができるように、印刷物形態の書籍を裁断し、スキャナーで読み取って電子ファイル化(著作権法上の「複製」)するケースが増えてきました。利用者自らがこのような作業を行うことを「自炊」と呼びますが、最近、利用者本人に代わって作業を行う「自炊代行」業者が出現してきました。2011年12月、浅田次郎さんなどの著名な作家たちが自炊代行業者2社を相手取って著作権侵害であるとして裁判を起こしました。その後、業者が原告の主張を認めたりしたので、裁判としては終結し、判決が出るには至りませんでしたが、問題提起として注目を集めました。

 

利用者自らが自前のスキャナーで電子ファイル化を行うことは、その目的が私的な使用目的であれば、著作権法30条1項に定める「私的複製」に該当することとなり、著作者等の許諾を得なくても適法です。利用者が業者提供のスキャナーを使用する場合は、著作権法上の法律構成は異なってきますが、同様の結論となる可能性があります。


今回の裁判では、作家たちは、サービスを利用している利用者ではなく、自炊代行業者が電子ファイル化の主体であるので、私的複製の規定は適用されず、著作権侵害に当たると主張しています。その根拠として、これらの業者は、不特定多数の者から会員登録を受け付け、利用者からの求めに応じて、受領した書籍が裁断済みの場合にはそれをスキャナーで読み取り、裁断されていない場合には業者が裁断した上で読み取るという方法を採ります。

 

また、オプションサービスとして、電子ファイルに「書籍名・著者・出版社」というファイル名の設定やOCR処理の実行、見開き表示への加工なども用意しています。完成した電子ファイルは利用者がインターネット経由でダウンロードするか、DVDに格納して利用者の住所へ送付という仕組みとなっています。このような業務の実態からは、電子ファイル化の作業を全て行っている自炊代行業者が複製の主体であると考えるほうが法的規律としては適切と思われます。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2012年9月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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