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国交のない外国の著作物の保護(2012年10月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

国交のない外国の著作物の保護

国交のない外国の著作物は日本でも保護されるのでしょうか?

 

日本は保護義務を負わないと解されています

 

文芸や音楽、美術等の著作物は国境を越えて伝達されていきます。このような著作物の国際的利用を前提として、自国の著作物が外国で利用される場合でも、その著作権が保護されるように、条約の作成・締結を通じて、国際的な保護の枠組が形成されてきました。

 

著作権分野で最も基本となる条約は「ベルヌ条約」と呼ばれる条約で、19世紀後半に作成され、何度かの改正を加えつつ、現在でも条約として効力を有しています。ベルヌ条約に加盟している国々の著作物に対して、日本は、原則として自国の著作物と同様の保護を与えなければなりません(内国民待遇の原則)。日本は、明治32年(1899)にベルヌ条約に加盟しており、ベルヌ条約加盟国は2011年12月現在で164カ国となっています。


さて、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、平成15年(2003)にベルヌ条約に加盟しましたが、我が国は北朝鮮とは国交がない状態(未承認国)にあり、そのような国交がない国の著作物であっても、我が国はベルヌ条約上の保護義務を負うのかが争われた裁判があります。


最高裁平成23年12月8日判決は、次のような見解を示して、結論としては、北朝鮮の著作物について日本は保護義務を負わないという判断を示しています。最高裁は、一般論として、我が国について既に効力が生じた多数国間条約に未承認国が事後に加入した場合、その条約上の義務が普遍的価値を有する一般国際法上の義務であるときは別として、未承認国の加入によって条約上の権利義務関係が直ちに生じると解することはできず、我が国は条約上の権利義務関係を発生させるか否かを選択することができるという考え方を示した上で、ベルヌ条約については、ベルヌ条約同盟国という国家の枠組を前提として著作権の保護を図るものであって、普遍的な一般国際法上の義務を加盟国に負わせるものではなく、また、我が国政府は条約上の義務を負わないという立場に立っている以上、保護義務を負うものではないとしました。現実として、相互保護という条約の理念が困難な状況では妥当な解釈と思われました。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2012年10月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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