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学術的な画像の著作物性(2012年12月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

学術的な画像の著作物性

学術的な画像や図面、模型などにも著作権はありますか?

 

創作性が認められれば、それらも著作物として保護されます

 

著作権法上の著作物の定義は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(2条1項1号)とされていますが、併せて、言語の著作物など9種類の著作物を例示として掲げています(10条1項)。例示に該当しないものでも定義に該当すれば、著作物として保護されるのですが、例示は著作物の具体例として有用です。

 

その例示の中に、「地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」(6号)があります。地図は説明の要はないものと思いますが、例えば、設計図、グラフ、数表、図解、地球儀、人体模型、動物模型などがここで想定されるものです。ただし、いずれにしても「創作性」(作者の個性の表出)という著作物の最も重要な基準を満たさなければならず、地図、設計図、図表、模型などの中でも、創作性がないものは、著作物として保護されません。


ロシアで発見されたマンモスの頭部標本をX線CT装置(コンピュータ断層撮影装置)で撮影し、それで得られた断層像のX線CTデータに基づいて作成された3DCG画像がCT技術を紹介する書籍の本文中や表紙カバーに無断で使用されたとして、3DCG画像を作成した研究者が出版社を訴えた事件がありました。画像作成に際しては、絵コンテの作成に始まって、コンピュータソフトウェアを用いた半透明の三次元画像の作成、多数の断層像の中から一定数の断層像の選択・配置、特にマンモスの頭蓋骨内の特徴的な構造を示す画像の配置の工夫、視点方向の調整や全体の色とライティングの調整などを経て完成したものです。

 

東京地裁平成23年11月29日判決は、このような作成過程を踏まえて、単にコンピュータソフトウェアの機能により自動的に生成される画像ではなく、それを素材としながらも美術的又は学術的な観点に基づく特定の選択が行われ、それに従った表現がなされている点を評価し、これらを総合した成果物である画像には作者(研究者)の個性が表現されているとして、「著作物」に当たるという判断を示しました。

※この記事は、「月刊公募ガイド」2012年12月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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