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虚偽の著作者名表示(2013年1月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

虚偽の著作者名表示

真の著作者ではない者が著作者として表示された場合、その者が著作権法上の著作者として扱われることになるのでしょうか?

 

真の著作者であることが確認されれば、その者が著作者となります

 

著作者は、著作権などの各種の権利の主体であり、また、著作者名の表示は、著作者の人格的利益にも関わるもので、氏名表示権(19条)という著作者人格権も与えられています。利用者側から見ても、著作物利用の権利処理の相手方として著作者の情報は極めて重要な事項です。


そこで、著作権法では著作物に実名や周知の変名を著作者として表示している場合には、その表示された者が著作者であると推定されることを定めています(14条)。「推定」の意味は、例えば、著作権侵害に対して著作者が裁判を起こす場合、著作者はいちいち自分が真の著作者であることを立証しなくても、法律上、著作者であると取り扱われることを意味します。ただし、その裁判で相手方から真の著作者は別人であると立証された場合には、著作者の地位は否定されます。このように著作者の「推定」は、著作者ではないことの立証責任を相手方に負わせて(挙証責任の転換)、著作者の地位を確保する意味があるのです。


漢字検定向けの対策問題集の編集著作権が誰に帰属するのかを巡って争われた裁判で、問題集の「監修」や「発行」名義は「財団法人日本漢字能力検定協会」(以下「協会」)となっていましたが、「編著」名義は協会ではなく、関連会社名義となっていました。大阪地裁平成24年2月16日判決は、実際の編集作業に関する事実関係に照らして、問題集の著作者は協会であることを認めました。上記の「推定」の効力が覆ったケースです。なお、協会という法人が著作者となるためには法人名義での著作者名の表示が必要ですが(法人著作、15条1項)、この場合「編著」名義者は著作者ではないとしても、協会名義の著作者名表示もないわけで、それでも協会が著作者となりうるのかという論点があります。これに関し、判決は、法人名義の表示がなくても「創作の時点で法人等の名義で公表することが予定されていたもの」であれば法人著作は成立するという解釈を採って、協会が著作者であることを認めました。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2013年1月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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