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原稿の「買取り契約」の意味(2013年4月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

原稿の「買取り契約」の意味

原稿の「買取り契約」の場合には著作権も譲渡されるのでしょうか?

 

契約内容によりますが、必ずしも著作権の譲渡を伴うわけではありません

 

著作権法上、著作者に与えられる権利のうち、著作者人格権は他人に譲渡できませんが、複製権等の著作権(狭義)は財産権なので、著作者の意思によって他人に譲渡することも可能です(61条)。

著作権の譲渡に関連して実務上「買取り契約」と呼ばれる契約があります。この契約が著作権の全部又は一部の譲渡を意味する場合もあります。この場合には著作者は権利を買い取られ、著作権者ではなくなり、以後の二次利用について権利行使することができなくなりますので、著作者は契約にあたり慎重な検討が必要です。

一方、出版物に掲載される著作物の使用料支払方法には、「印税方式」と「原稿料方式」があります。印税方式は出版物の発行部数に応じて一定料率で使用料を支払うものです。原稿料方式とは一定金額を一括して支払うもので、追加の支払いを要しないものです。このうち、原稿料方式のことを買取り契約と称することも実務上見受けられます。この場合には契約の相手方は一定の範囲で独占的な利用許諾を得たことを意味するだけで、著作者が著作権を譲渡したことを意味しません。したがって、買取り契約という形式にとらわれず、契約内容を十分に確認することが大切なのです。

絵本の出版にあたって出版社が複数の画家に挿絵の作成を依頼し、それぞれ画料を支払った後、さらに絵本の増刷をする際に画家たちに無断で行ったことが画家の著作権侵害となるかが争われた事件で、出版社側は、挿絵の画料を画家に支払うことで絵本の原画は出版社の買取りとなり、その著作権は出版社に帰属するという慣行があるので、増刷にあたり画家の許諾や使用料の追加支払いは不要であると主張しました。しかし、東京地裁平成24年3月29日判決は、そのような慣行があることを裏付けるに足りる客観的証拠はなく、かえって他の出版社の絵本の中には原画の著作権は画家に帰属するものとして取り扱われているものが少なからず存在するとして、出版社側の主張を退けました。


※この記事は、「月刊公募ガイド」2013年4月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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