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著作権の保護期間の延長(2013年7月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

著作権の保護期間の延長

TPP交渉の中で著作権の保護期間の延長がテーマの一つになっているようですが、どのような問題なのでしょうか?

 

 

現在の著作者の死後50年までという保護期間を死後70年までに延長するかどうかという問題です

 

著作者の権利は、著作者人格権と財産権である著作権に大別できます。このうち、著作者人格権は著作者の人格的利益を保護する権利ですから著作者の死亡とともに消滅します。また、著作権も一定の保護期間が経過すれば消滅し、以後はだれでも自由に著作物を利用することができるようになっています。新しい創作活動も過去の文化的成果の恩恵を受けていることが多く、保護期間が長すぎれば、創作活動や利用が制約され、文化の発展を妨げることが想定されます。このような観点から、各国の著作権法では著作権について有限の保護期間を定めて、著作者の保護と社会全体の利益とのバランスを取ろうとしているのです。


我が国における保護期間は、明治時代に制定された旧著作権法では、原則として著作者の死後30年までとされていましたが、1970年に制定された現行著作権法では、原則として著作者の死後50年までに延長されました。その背景には、著作権に関する国際的な保護水準を定めたベルヌ条約が原則として著作者の死後50年までを明確にしたことを受けて、それとの整合性を図る必要があったという事情があります。


一方、ヨーロッパでは1990年代に条約の水準を上回る著作者の死後70年までという保護期間に延長しました。その後、アメリカやその他の国々もそれに影響されて延長措置をとり、現在ではベルヌ条約締結国166カ国中70カ国を超える国々が死後70年までとしています。保護期間の違いは著作物の国際的流通において不均衡の要因となることがあるため、日本に対しても保護期間の延長を求める声が大きくなり、今回TPP交渉のテーマの一つとして浮かび上がってきたわけです。


なお、仮に延長することとなっても、延長の効果は将来に向かって発生するので、過去に保護期間満了となった著作権が復活することはありません。今後の交渉の推移が注目されます。   

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2013年7月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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