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保護期間延長の影響(2013年8月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

保護期間延長の影響

保護期間の延長によってどのような影響があるのでしょうか?

 

 

著作物の利用に際して権利者から許諾を得たり、使用料などを支払わなければならない期間が長くなることになります

 

著作権の保護期間の満了によって著作権者は権利主張ができなくなります。これによって、利用者はそれまでは権利制限に該当する場合を除いて必要であった権利者の許諾を得るという手続が不要になり、自由に利用できることとなります。使用料などを支払う必要もありません。


以前、サン・テグジュペリ作の『星の王子さま』の著作権の保護期間が満了した後、多くの出版社が競うように翻訳本を出版したことがありました。このように著作権の保護期間の満了によって、多様な利用が新たに生まれ、その著作物の普及を促進するという効果が見受けられます。

 

保護期間が延長されるということは、利用者の立場からは延長された期間分、利用が制約される期間が長くなるということを意味します。一方、著作権者の立場からは、著作権に基づいて著作物の利用をコントロールし、経済的な対価を得ることのできる期間が長くなり、財産権としての著作権の価値が長く維持されることとなります。このように保護期間の延長は、権利者、利用者双方の利益が対立する問題なのです。


著作権の保護期間は原則として著作者の死後50年までですが、他の知的財産権と比べると、例えば、特許権の保護期間は、原則として特許出願の日から20年間となっています。このことから、既に著作権は十分長い期間保護されており、これ以上保護期間を延長すべきではないという意見もあります。一方、著作権は音楽や映像などのコンテンツ産業の基盤ですから、長期間人気があり利用されている著作物については、その利用に伴う経済的対価を確保させるべきという意見もあります。


何が保護期間の長さを決定する合理的な基準なのかについては国際的にも定説があるわけではなく、各国が保護期間の長さを判断する際には、他国における保護期間の傾向、つまり一種の「国際標準」とのバランスの確保が大きな動機となってきました。その意味でTPP交渉の動きは我が国の今後の対応に大きな影響力があると言えましょう。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2013年8月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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