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「自炊」代行業者の侵害責任(2013年12月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

「自炊」代行業者の侵害責任

「自炊」代行業者の行為は著作権侵害となるのでしょうか?



著作権侵害に当たるとした東京地裁の判決が出ました

 

「自炊」代行業者とは、利用者の求めに応じて書籍や雑誌の内容をスキャナーで読み取って、電子データ化するサービスを行う業者です。

 

書籍等の購入者が自分で電子データ化を行うことは、著作権法で認められた「私的使用のための複製」(私的複製、30条1項)に該当し、権利者の許諾を得ることなく自由に行うことができます。しかし、利用者の求めに応じて電子データ化を代行する自炊代行業者の行為は、業者が複製主体であるから、この私的複製には該当せず、著作権侵害(無断複製)にあたるとして、作家等の著作権者が業者を訴えていました。

 

同種の訴えが複数の業者に対してなされていますが、平成25年9月30日に自炊代行に関する最初の判決が東京地裁から下されました。この事件では、業者は利用者から送付された書籍を裁断してスキャナーで読み取り、電子データ化した上でダウンロードやDVDなどで利用者に納品するというサービスを行っていました。業者は、利用者の「手足」としてその私的複製の補助をしていたにすぎず、複製の主体は利用者であるから、30条1項の私的複製の範囲内であると主張していました。

 

しかし、東京地裁の判断は、利用者は本を送付した後の作業に全く関与せず、業者が利用者の管理下で複製していたとは評価できないとして、複製の主体は業者であると認定し、私的複製の主張を退けました。この結果、裁判所は業者に対して複製(自炊代行)の差止めと著作権者への損害賠償を命じました。同種の事件への影響は必至と考えられます。

 

一方、裁判とは別に、著作権者と自炊代行業者との間では、個人の蔵書を電子化するための許諾ルール作りについて協議が始まっています。平成25年6月14日、著作権者側である「蔵書電子化事業連絡協議会」(Myブック変換協議会)と自炊代行業者側である「日本蔵書電子化事業者協会」(JABDA)は、蔵書の電子化における基本方針に合意し、今後、詳細なルールについて協議を進めることを発表しました。電子化に関する円満なルールが形成されることを期待したいものです。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2013年12月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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