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雑誌と出版権の関係(2014年3月号)

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公募ガイド誌上で1998年4月号から2014年3月号に渡って連載された、「公募のための著作権Q&A」を再掲載します。

毎週火曜日にバックナンバーを更新していきます。

 

講師:吉田大輔(放送大学客員教授)

雑誌と出版権の関係

雑誌掲載の著作物を対象に出版権を設定することができますか?



実例はありませんが、不可能ではないと解されています


まず最初に、実態としては、雑誌掲載の著作物について出版権を設定した例はないと言われています。しかし、出版権の内容を定めた著作権法八〇条一項では、「出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもって、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する」と規定しており、この規定をみる限りは、雑誌に掲載された著作物に対する出版権の設定を排除していないとも考えられます。


ただし、出版権者が出版権設定に伴って負う法的義務として、出版権者は「慣行に従い継続して出版する義務」を負うとされています(八一条二号)。このことから、現行の出版権制度は単行本のようなある程度長期間に渡って継続発行される形態の出版を想定しており、一般に短期間の発行期間となる雑誌の出版は想定していないとみることもできなくはありません。しかし、この義務は「慣行に従い」という条件が付されていますので、短期間の発行であっても、それが雑誌出版の慣行に従っているのであれば、義務違反とはならないと解することもできます。したがって、現行規定をみる限りは不可能ではないと解すべきでしょう。


雑誌に掲載された著作物に出版権が設定された実例がないのは、このような制度の解釈に加えて、雑誌に掲載された後、その著作物が単行本などの形で発行されることを見越して、あらかじめ将来に向けて権利関係で拘束されることを嫌うという著作権者の意向も関わっているものと思われます。


電子出版権に関する文化審議会の提言の中でも、この点に触れた部分があり、現行の出版権制度においても、雑誌に掲載された著作物に出版権を設定することが可能であることを前提として、雑誌の発行期間等に合わせた短期間の存続期間の設定を検討することなどの契約上の工夫の重要性を指摘しています。また併せて、電子出版に対応した出版権の制度設計においても、雑誌を構成する著作物への出版権設定を可能とする制度とすべきことを提言しています。

 

※この記事は、「月刊公募ガイド」2014年3月号で掲載されたものです。法改正などにより、当時と状況が変わっている場合があります。

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