創作トレーニング実習 第23回発表
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創作トレーニング実習 第23回発表
第23回の課題は、「浦島太郎は最後に玉手箱を開けておじいさんになってしまいますが、この伏線となる説明または場面を書いてください」でした。
なるほど、未来の分まで先に使ってしまったのですね。
■第23回採用作
小山正太
太郎は竜宮城でフィーバーしていた。毎晩、人魚たちと踊ったり、騒いだり。それだけのことで、時間が経つのも忘れるくらい楽しいのが不思議だった。もっと不思議なのはこれだけ動きまわっているに、疲れが溜まらないことだ。
その日も太郎は一緒に踊った人魚をナンパしていた。
「僕もそうだけど、君も疲れ知らずだね」
「当たり前じゃないですか。竜宮城は未来のバイタリティとエネルギーを今使うことができるんですよ」
「面白いこと言うなぁ。じゃあここを離れたら疲れがどっと押し寄せてくるわけだ」
「疲れなんて封じ込めておけばいいんですよ、例の……」
人魚は太郎が二本足であることに気づき、押し黙った。
「地上からのゲストの方につまらない話をしてスミマセン。疲れ知らずならもっと踊りましょ」
「若いね」
「まだ200歳ですから」
「えっ?」
自分の聞き違いだろうと、太郎は気にせず踊りはじめた。
(了)