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言葉処 其の28「芭蕉の蛙は何匹か」

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Full we care car words to become Ms. note いったいなんのことかと思ったら、芭蕉の「古池や蛙とびこむ水の音」だと言う。なるほど、そう聞こえるが、文人による英訳もあり、ドナルド・キーンはThe ancient pond A frog jump in,The sound of water、小泉八雲はOld pond frogs jumped in sound of waterと訳した。意味は同じだが、よく見ると明らかに違うところがある。

芭蕉のこの句は深川芭蕉庵で行われた「蛙合」(全員が蛙の句を詠む)で公表された。当初芭蕉は「蛙飛ンだり水の音」と詠み、弟子の室井其角は「山吹や」の上五を提案したが、芭蕉はこれを退け「古池や」にした。「山吹や」で色、「水の音」で音が感じられるから句としては「山吹や」のほうが凝っているが、芭蕉は「質素にして実也」と言い、敢えて句から色を排除してみせた。

この池は芭蕉庵の生簀だ、いや心象風景だなどと諸説あるが、こんな説もある。芭蕉一行が旅していると池があり、昔の池だから沼に近いが、そこに山吹が群生している。「すげえ」一行は一斉に駆け出す。すると水際にいた蛙たちは驚いて池に飛び込む。バシャバシャバシャバシャ。もの凄い音だ。「うわ、なんじゃ、こりゃ」驚いた直後、池は一瞬にして静寂を取り戻す――。

一般には一匹の蛙がポチャッという図を想像しがちだが、八雲はfrogsと複数にしているから、大群ではないにしても「一匹ではない」と解釈したのだろう。俳聖・松尾芭蕉の印象が強いせいか、ついわびさびといったシーンを想像したくなるが、芭蕉は新しがり屋だったと言うし、意外と蛙の大群を見て「なんかすごいんですけど」とおもしろがようなタイプだったのかもしれない。(黒)

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