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TK-プレス 其の29「主人公の職業」

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今回(第32回)、「小説推理新人賞」を受賞した深山亮さんは公募ガイドの読者だそうで、原稿を依頼したところ、その中で「『読む側』から『載る側』になることができ、感無量です」と書かれていた(公募ガイド10月号参照)。受賞作は「遠田の蛙」で、主人公の職業は司法書士だが、深山さん自身、現役の司法書士だから、取材するまでもなくその日常が描けたと思う。

アマチュアの場合、主人公の職業を自分とは縁もゆかりも興味もない職種にし、しかも、さして調べもしないで書いて、「普通、こんなことはありえません」などと言われたりするのだが、現職か前職、またはよく知っている職種を選べば、同業者が読んでおかしいと思うようなことも書かないだろうし、その職業を知らない人には「へえ、そうなんだ」という細部も書けるだろう。

ただ、作者と主人公が近すぎると、作者=主人公だと思われてしまい、たとえば小学校の男性教師が書いた小説の主人公が、小学生のヌード写真を売買していたりしたら、「実話なんじゃないか」と言われかねないし、いや、言ってくれれば弁解もできるが、密かに「あんな先生、キモい、最低!」と噂が飛び交うかもしれない。というのは冗談だが、作者=主人公と思われる不安は書き手の自由を奪うらしく、そんな悩みを相談されることも少なくない。

では、畑違いの職業にすればいいか。しかし、そうなるといろいろ下調べをしなければならず、たいがいの人は「かったるいなあ」と思ってしまうようだ。確かに、機械オンチの方がうっかり主人公の職業をシステムエンジニアにしてしまったために、本物のSE並みの知識を得ようと下調べをするのはしんどいだろう。興味がないならなおさらだ。

というようなことをある作家の方に言ったら、「そうではなく、作家は好奇心旺盛だから、たとえば豆腐屋を描くなら、『豆腐ってこうやって作るんだ、へえ』と興味津々で資料を読んでいると思いますよ」と言われた。なるほど。自分に関心のある職業か、なくても調べているうちに興味が湧くものにすればいいわけだ。それならつらくないかも。(黒)

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