編集報 読の巻 其の2「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」
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タイトルからするとフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のパロディのようだが、内容はSFではなくバリバリの本格推理。爆発的に売れた『謎解きはディナーのあとで』同様、今回も爆笑の連続だが、それだけではない。ただおもしろいだけでは浮ついた感じになるが、東川氏の場合は推理小説として読んでもトリックが綿密に練られているから、ギャグという風船が本格推理という重しによって留められている感じ。笑えるだけなら軽視されるし、すぐに飽きもされ、密室殺人というだけでは食傷だし、震災後の世の中には殺伐としすぎる。その両方を合わせたというところ、SFと哲学を融合させた『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』以上と言えば言い過ぎだろうか?(黒)