あの人に聞いてみたい/北村薫さん

撮影:神崎安理

「あの人に聞いてみたい」は「月刊公募ガイド」の特集でご登場いただく
クリエイターの方に、創作についてお聞きするコーナーです。
月刊公募ガイドと併せてお読みください。

北村薫(直木賞作家) きたむら・かおる

1949年埼玉県生まれ。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞受賞。06年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で直木賞受賞。小説、評論、エッセイおよび創作表現や編集等の著書多数。

今回の「あの人に聞いてみたい」は公募ガイド12月号の特集「文章力がぐ~んと伸びる! 文才ドリル」のSPECIAL INTERVIEWにご登場いただいた直木賞作家の北村薫さんです。
誌面に入りきらなかった取材時の質問を選び、こちらでご紹介します。

北村先生は「日常の謎」という独創的なジャンルを開拓されています。他のジャンルではなく、なぜ「日常の謎」にされたのでしょうか。

北村先生

読む側としては不自然なものも受け入れますが、書くとなると常識が働いて、「連続殺人? 不自然だろう」と思う。それでリアリティーのある物語を求めた結果、自然に「日常の謎」のような形になりました。表現者には自分に合った表現というものがあり、私の場合は「日常の謎」という形が合っていたということだと思います。

北村先生は文学賞の選考委員もされていますが、受賞するためには何がもっとも必要でしょうか。

北村先生

やはり一番必要なのは個性です。マニュアルに従っているだけでは、みんな同じになってしまいます。文学賞なんかでヒット作と似た傾向の作品が集まることがありますが、誰かに似ているようじゃだめ。いかに人とは違うものを書くかです。
最終選考まで残り、「松本清張の並の作品ぐらいの力はあるんだ」と言っても、松本清張の並の作品はいらないんですよ。もうあるんだから。毎回、1次選考で落とされるようなら、そのあたりも考えたほうがいいです。

実体験をベースに書こうとして、書きにくいときはどうすればいいですか。

北村先生

時代や設定を変えるという手もあります。芥川龍之介の『羅生門』でも、現代が舞台では書きにくかった。そこで時代を変えた。江戸時代やもっと前の時代は非常に命が安い時代で、天災などがあれば死体をまたいでいくことも不自然ではありません。

 

時代を変えることで、書けることもあるのですね。

北村先生

ただし、時代小説の場合、時代考証というハードルもあります。有名な話ですが、ある時代小説作家もまだ未熟な頃、主人公がちゃぶ台で食事をする場面を書いて失敗した。江戸時代はちゃぶ台なんかで食べません、箱膳です。そうしたことを調べるのは面倒なことのように思いますが、書くために必要なことを調べ、自分の小説世界が立ち上がっていくことは楽しいことです。

公募ガイド12月号

公募ガイド12月号では、北村薫さんに「小説の書き方」について伺っています。

公募ガイド2019年12月号
特集「文章力がぐ~んと伸びる! 文才ドリル」

2019年11月9日発売/定価680円

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