公募ガイド2018年4月号
- 文芸
2018.03.08
特集
テクニックで君の文章はもっと輝く!
書くことが思いつかない、うまくまとまらない、ありきたりになってしまう。
文章のお悩みは尽きない。
そこで書きたい人のお悩みをテクニックで解決する!
SPECIAL INTERVIEW
町田康(芥川賞作家)
Machida Kou
「面白い文章など存在しない。
真面目だからギャップが面白い!」
―町田さんが考える面白い文章とは?
面白い文章ってないんですよ。それを人に置き換えて考えてみると、面白い人ってハゲヅラをかぶっている人ではない。その人自身は、あくまで真面目だからこそ、そのギャップが面白いわけです。吉本新喜劇でも、突飛なギャグを言う人もいますけど、基本的にはちゃんと芝居をしている。だから笑えるんです。
―それを体現している文章はありますか。
内田百閒(ひゃっけん)の文章は面白いですね。名文ですが、内容は非常にバカバカしい。百閒が弟子を連れて寝台車に乗り、酒を飲んでいたら煙草を吸いたくなった。でもDon’t smoke in bedと書いてある。そこで百閒は理屈をこねくりまわして「in bedにはベッドの中という意味と、寝た状態でという意味がある。我々は起きている。さあ、煙草を吸おう」と言うわけです。愉快ですよね。
―文章そのもので笑わせようとしてはいけないんですね。
謹厳な語り口の文章で、くだらないことが書いてあるからこそ笑えるんです。面白いことを書きたいなら、文章そのものをおちゃらけて書くのではなく、普通だと流してしまうようなことを深く考えてみることですね。
(インタビュー抜粋)
CONTENTS
文章を書く7大お悩みをテクニックで解決する!
初級編
【お悩み1】何も思いつかない人は?
→ 問いを持とう! それが主題だ
【お悩み2】うまくまとまらない人は?
→ 不要なものを削れば筋道が見える
中級編
【お悩み3】ありきたりと思う人は?
→ 一点突破で、ある面をとぎすます
【お悩み4】伝わらないと思う人は?
→ 直接的に書かず、察してもらう!
上級編
【お悩み5】うまく表現できない人は?
→ ここぞというときに比喩を使え!
【お悩み6】構成に芸がないと思う人は?
→ 本題を隠せば意外な展開に見える
番外編
【お悩み7】なぜ入選しないか理由がわからない
→ 素人は素人らしい作品を!
文章指南の3人の先生にもアドバイスしてもらった!
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思うのではなく、書くことを思い出せ!近藤勝重先生
(コラムニスト) -
1.5割増しで大げさに、具体的に書け!樋口裕一先生
(小論文指導の第一人者) -
展開があれば、どんな構成でもかまわない鈴木信一先生
(現役高校国語教師)
いつか使ってみたい! 文章家っぽい!
慣用句辞典
比較的有名でない慣用句、ことわざを集めてみた。これが自然に使えると格が上がる!
巻頭インタビュー「YELL」
Vol.037
若竹 千佐子(小説家)
「ご褒美が欲しい」より「いい作品を書きたい」がまさり、書き続けてこられた。
Profile
1954年、岩手県遠野市生まれ。子どもの頃から「小説家になる」という思いを抱いていたが、岩手大学教育学部卒業後、臨時教員を経て結婚し、専業主婦に。
55歳のとき、夫が急逝。小説講座に8年間通い、その間に『おらおらでひとりいぐも』を執筆。2017年、第54回文藝賞を史上最年長となる63歳で受賞。
同作で、翌年(2018年)1月、第158回芥川賞を史上2番目の年長受賞。
『おらおらでひとりいぐも』
(河出書房新社/1200円+税)
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