公募ガイド2018年8月号

  • 文芸

2018.07.09

特集

エンタメはドラマ&原作から学ぼう!

あらゆるものが創作のお手本になるが、なかでも、
映像の世界は優れたエンタメ作品が多い。
今回はテレビドラマに絞り、その原作の設定、展開など、
盗んで生かしたいエンタメの技法を紹介する。

SPECIAL INTERVIEW 1

本多孝好
HONDA TAKAYOSHI

結末を予想しながら
楽しむことで、
自分の求める
面白さに気づく

小説家の本多孝好先生。撮影:武井優美

 
――小説を読んだり、ドラマを観たりするときに、こういうところを意識すれば、楽しませるテクニックを身につけられるという練習法はありますか。

たとえば、ある程度こういう物語なのかと思った時点で、結末を予想してみるというやり方はありますね。
自分が予想した結末と、作品の実際の結末と、自分にとってどっちが心地いいのかを考えてみれば、自分で作品を書いている方なら、自分が描いた世界のほうが心地いいはずなんですよ。
そうであれば、そこに向かうまでの過程を考えることで物語が作れますよね。
私が小説を書いてみようと思ったのは、人の作品を読んでいるだけでは満たされないものがあったからなんですね。それだったら、その満たされないものに対して、意識的であっていいと思います。自分がもの足りないと感じるところに目を向けるといいんじゃないでしょうか。

――ドラマや映画など、小説以外のメディアを見て参考にされることはありますか。

結果として参考になっていることはありますけど、作品を見た瞬間にこれを参考にしようと思うことはないですね。書いている途中に、そう言えばこういうシーンもあったなと思うことはありますが。
参考とは違いますが、映画だと、本編を見ているより、予告編を見ているときに、ふと書いてみたくなったりします。予告編というのは、要するに物語のエッセンスだけを見せられて、さあこれはどんな物語でしょうっていう、ある種の謎かけでもありますよね。そこで、自分だったらこういうふうに書くなってイメージがわいたりするんです。
 

インタビュー記事より抜粋

 

SPECIAL INTERVIEW 2

沖田×華
OKITA BAKKA

悲しい話にも
笑いと救いを入れ
強弱をつけて
飽きさせない


漫画家の沖田×華先生(ペンネームの由来は「起きたばかり」)。撮影・武井里香

――読者を楽しませるためのテクニックはありますか。

漫画って一番いいのは笑いがあること。面白くないと漫画じゃない。でも、ずっと笑っている必要はなくて、読み進めて「ふっ」と笑う。そんなあんばいがちょうどいいんだとわかってきました。私の漫画は内容自体が濃いので、受け止めるほうも大変みたいで。

――創作で工夫していることはありますか。

実話を描くといっても、本当のことをそのまま描くだけではだめ。『透明なゆりかご』は産科で起こるさまざまな出来事を描いたもので、バッドエンドが多いから読者が暗い気持ちになってしまいがち。
でも、漫画はそれではだめで、そこからが創作です。悲しいことがあっても人生は終わりじゃない、流産してしまっても数年後にまた赤ちゃんを授かるチャンスがある、必ず幸せがやってくるって、小さな光を見せることが大切です。前面に出すのか最後に少しだけ出すのか、ワンパターンにならないよう工夫しています。バッドエンドでも救いが必要なんです

――創作している人にメッセージをお願いします。

私は最初はエッセイからスタートしたんですが、自分のことを書くだけだから簡単だと思ってたんです。でも、「これ書いたら格好悪いな」という部分があって。

――つい気取ってしまう?

それと、貧困、生活保護、シングルマザーなどを書くとき、私はこんなに頑張って、こんなに苦労して子どもを育てているという書き方をすると、読者がつらくなってしまう。だから、客観的に自分を見るといいと思います。

 

インタビュー記事より抜粋

 

7月から始まる夏ドラマに学ぼう

 

健康で文化的な最低限度の生活

〈放送開始〉カンテレ・フジテレビ系 7/17(火)
〈放送時間〉毎週火曜日21~22時(初回20分拡大)
〈キャスト〉吉岡里帆 井浦新 川栄李奈 山田裕貴 田中圭 遠藤憲一
〈原作〉  柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』(小学館)

原作漫画のここを盗め!

主人公は巻き込まれる!
これが一番自然な始まり

主人公がなぜその世界に入ってきたかは、過去のトラウマなどで説明せず、いやおうなしに出来事や運命に巻き込まれてしまうようにするのが一番自然。
『健康で文化的な最低限度の生活』の場合も、公務員になって配属された先がたまたま生活課だったという自分の意思ではないことが発端となっている。
しかし、その後は自発的にならざるを得ないことが起きるように設定する。

 

サバイバル・ウェディング

〈放送開始〉日本テレビ 7/14(土)
〈放送時間〉毎週土曜日22:00~22:54(初回22:00~23:09)
〈キャスト〉波瑠 伊勢谷友介 吉沢亮 高橋メアリージュン ブルゾンちえみ 風間俊介
〈原作〉  大橋弘祐『サバイバル・ウェディング』(文響社)

原作小説のここを盗め!

いきなりの不幸と
時限装置

『サバイバル・ウェディング』の冒頭では、2つの定番の設定が用いられている。
1つめは「いきなりの不幸」。この作品では「3か月後に結婚」という状態で婚約者の浮気が発覚し、婚約は解消される。幸福の絶頂から不幸のどん底に落とされるわけだが、ここから再び絶頂を目指すからこそ、その落差が楽しい。
もう1つは、「半年以内に結婚しないとクビ」と言われること。これは一種の時限爆弾のような設定で、期限を決められると途端に緊張感が高まる。

 

この世界の片隅に

〈放送開始〉TBSテレビ 7/15(日)
〈放送時間〉毎週日曜日21~22時(初回25分拡大)
〈キャスト〉松本穂香 松坂桃李 村上虹郎 新井美羽 稲垣来泉 二階堂ふみ 尾野真千子 伊藤蘭 田口トモロヲ
〈原作〉  こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社)

原作漫画のここを盗め!

戦前の資料が豊富で、
リアリティーがある

時代ものや異世界ものでは、舞台設定のリアルさは不可欠で、リアルに描くためにはディテールが必要だ。ディテールを書くには、資料が不可欠だ。
『この世界の片隅に』にも、当時の資料をもとに描かれた、戦前の暮らしがたくさん出てくる。ストーリーには影響しなくても、こうしたディテールがリアリティーを支える。

 

前クールのドラマに学ぶ
エンタメの展開と構造

『あなたには帰る家がある』
(原作・山本文緒)

ありふれた設定でも
これだけ面白くなる

面白い理由はいろいろあるが、浮気をすれば家庭が壊れるというシリアスさ、その中にも家族愛が描かれ、アットホームなシーンがある。
不倫相手の女性が執拗に追ってくるのはサスペンスでもあり、追い詰められるほどにうろたえる主人公の様はコメディーでもある。
不倫した者と不倫された者との対決も見ものであり、人には言えない過去(秘密)で引っ張るところも定番の技巧ながらうまい。

 

『ブラックペアン』
(原作・海堂尊)

あらゆるところで
バチバチの対立構造

対立構造を作ると、それだけで話は格段に面白くなるが、『ブラックペアン』にはこの対立構造がたくさんある。
東城大学と帝華大学、佐伯教授と西崎教授、高階講師と渡海征司郎、渡海征司郎と佐伯外科の面々。
さらに渡海征司郎から見ると、佐伯教授は父親の渡海一郎を大学病院から追いやった人物で、ここにも対立がある。

 

浅田直亮先生に聞く
物語が盛り上がる方法を教えてください。

シナリオ・センター講師 浅田直亮先生

面白いドラマには、面白い理由がある。それを創作に生かしたい。
そこでシナリオ・センターの講師・浅田直亮先生、話が面白くなる秘訣を聞いた。

主人公が困るように
困るように設定する

――話を面白くするコツは?

主人公を困らせることです。うまくいくようにうまくいくように書いてしまう人が多いのですが、うまくいかないようにうまくいかないように書かないと面白くなりません。主人公をとことん困らせる、もっともっと困らせる。
よくないのは、大したことない困らせ方をさせてしまうこと。自分でなんとか解決できそうな範囲で発想してしまうこと。それだと先が見えてしまうし、「こうすれば解決する」とわかってしまう。

――主人公が困れば困るほど、それを解決させるのが難しくなります。そういうときはどうすれば?

一番いいのは解決しないこと。解決しようとすると面白くならない。むしろ解決させない。もっと悪くする。もちろん、殺人事件のような場合は逆算して解決法を用意しておきますが、そうでない場合は解決しなくていい。

――もう少し小さな問題というか、たとえば試合前にユニフォームがないという困らせ方をした場合はどうでしょう。解決させないわけにはいかないですよね。

それは形だけの問題で、ユニフォームがないということは、誰が隠したのか、なんのために隠したのかという問題がある。ドラマって人間関係なんで、人間と人間をぶつけ合わないといけない。ユニフォームが見つかることは大きな問題ではないんです。

 

書きたいけど書けないあなたに
創作の書きあぐねポイント

いいドラマを観る。こんな物語を書きたいと思い、小説にする。
ところが、書き始めると手が止まる。思ったように書けない。初心者が陥りがちなポイントを挙げよう。

ポイント1 高いハードル狙いすぎ
ポイント2 あまりにも起伏なさすぎ
ポイント3 いい人でいようとしすぎ

 

書きたいけど書けないあなたに
創作Q&A

いいドラマに学び、さあ小説に生かすぞとなったときに、そのまま生かせるテクニックと、そのままは生かせないテクニックがあったりする。
ここでは創作に関する疑問も含め、Q&A形式で創作術を解説しよう。


 

巻頭インタビュー「YELL」

 

Vol.041

瀧亜沙子

相手の予想をいい意味で裏切るアイデアを

若手クリエイターの登竜門である「第 85 回毎日広告デザイン賞」。その「一般公募・広告主課題の部」で、今回優秀 賞を受賞したのが、電通のアートディレクター(AD)・瀧亜沙子さんだ。2014年の入社以来、毎年応募を続け、〝4度目の正直〞での受賞となった。「受賞して初めて、これまでファイナ リストにも残れなかった理由がわかりました。毎年2、3課題応募していましたが、本心で語れていなかった。今回は本当に好きなもので作ろうと、課題は私自身が仕事の後に楽しみにしているビールだけに絞ったんです」 

――続きは雑誌に掲載しています。

 

Profile
1991年生まれ、東京都出身。
2014年に東京藝術大学デザイン科を卒業、電通に入社。
現在、デザインオフィス「nendo」 と電通の合弁会社「cacdo」に出向中。

 
『Co-feiler』
11月発売予定 全18種各2700円 (税込)
詳細はフェイラーブランドサイトへ

 

企画・アートディレクションを担当
ストレイテナー『タイムリープ』

バックナンバー

公募ガイド2018年10月号

9月7日発売/定価630円

特集: 私も小説家になれますか?

>詳細を見る

>公募ガイド電子版(有料会員電子版会員限定)