公募ガイド2018年9月号

  • 文芸

2018.08.09

特集

エッセイ講座記念 巻頭インタビュー

今回の特集の巻頭インタビューは、芥川賞選考委員も務める島田雅彦さんと、読書芸人としても知られる光浦靖子さん。
2人に、エッセイを書くコツを取材した。

SPECIAL INTERVIEW 1

島田雅彦
SHIMADA MASAHIKO

書くことは、
無数の候補から
答えを探す作業

撮影 賀地マコト

 
――大学時代にデビューされて、修業時代はなさそうに見えますが、そうではないんですね。

そういう意味では修業を始めたのが早かった。苦節十年は経過したという感じです。

――プロになったあとも、文章修業をしているという意識はあるものですか。

文を紡いでいくという作業自体は、職人がかんなをかけるとか、磨きをかけるとかということに通じます。サッカーで言えばパス、野球で言えばキャッチボールにあたるものですので、これは欠かせないものなんですね。

――日々練習なんですね。

バレリーナの方がよく言いますが、風邪で3日休むと取り戻すのが大変だと。漫画家もしばらく休んでいると線が鈍ると言います。この感覚は文章にもありまして、毎日書いて、きれっきれの状態が続いていると、朝目覚めていきなり書ける(笑)。反対に2、3日の中断でも、取り戻すのに半日以上かかっちゃうんですね。あまりハイな状態だと疲れちゃうので、ときどきは休むんですけど、でも、そういうハイな状態が続いたほうが生産効率は高いです。

――どうしたらいい文章が書けるようになるんでしょうか。

文章の書き方というのは、単語の並べ方だったり、てにをはの使い方だったり、比喩の使い方だったりいろいろですが、その組み合わせは無数にありますので、同じ意味の一文を書くにしても、その書き方は何千通りとある。

――そのどれを選べば?

この文章でなければならないという理由はないんですよ。文章を書くというのは、ただなんとなく書いて、「これだ」というのを見つける作業なんですね。
 

インタビュー記事より抜粋

 

SPECIAL INTERVIEW 2

光浦靖子
MITSUURA YASUKO

面白いことを、
さくっと短く
書いた文章がいい

撮影 毎日新聞出版

――文章を書かれるとき、どこからどう書き出し、どう終わろうかといった構成は、事前にしっかり考えてから書きますか、それとも即興に近いですか。

即興に近いです。だいたいまとまらず、いったんお風呂にはいったり、ご飯したり、テレビ観たり、で、夜中に「マジで締め切りやべぇ」となって書きます。

――書くことについて、スランプのようなときはありますか。あるとすると、そこから抜け出して、書くことを思いつく、書けるようになる方法はお持ちですか。

スランプはありますが、抜け出す方法はないです。なんか、毎日「ああ、締め切りだぁ」と十何年、言い続けています。
『ハタからみると、凪日記』の字数は1400字でしたが、1つの話で完結させようとすると足りなくて、2つの話題を入れようとするとあふれてしまう。字数が体に入らない、というのは本当につらいです。

――文章もお笑いも、努力では補えない才能が必要だと思いますが、才能とはどういうものだと思われますか。

文章の才能は、言葉が好きな人にあるかもしれないもの、かと思います。あと、人の気持ちとか、言わんとすること、隠してる気持ち、そういうのがわかる人、逆にわからなかったことをずっと悩む人、才能はそういう人にあるんじゃないかなぁ?
 

インタビュー記事より抜粋

 

添削に学ぶエッセイ講座

百聞は一見にしかず。「むだを省く」のようにお題目だけ言われるより、どこをどう直したか見たほうが早い。
今回は実際の添削例を見て学ぶ特集。「人のふり見て我がふり直せ」エッセイ版!

 

HOW TO WRITE AN EASSAY 1

あなたのエッセイはどのレベルにあるか

添削された実例を見ると、どこをどう直せばいいのかがよくわかる。「人のふり見て我がふり直せ」を合言葉に学んでいこう。
今回は読者5名が書いたエッセイを実際に添削し、どこが問題なのかを解明する。

 

HOW TO WRITE AN EASSAY 2

小説作法で書くエッセイ術

小説は、過去に起きたと設定したことが今起きているように錯覚させる技術で書かれる。これをエッセイに応用してみよう。
実際に、同じ題材で、作者の視点で書いた例文と、人物の視点で書いた例文を紹介。比べてみよう。

 

HOW TO WRITE AN EASSAY 3

論理的に展開させ、ミスリードをなくす

文と文の関係がわかると頭がすっきりして気持ちいい。しかし、わからないと読み手は混乱する。文章を論理的に展開させよう。
併せて、印象や感想が生まれる原理として、近接の原理とクレショフ効果について解説する。

 

HOW TO WRITE AN EASSAY 4

どんな順番で書くか、構成を考えよう

何をどんな順番で書くかは自由と言われても、漠然としすぎてわからない。具体的に、オーソドックスな一例を示そう。
今回は、現在-過去-現在に戻る「サンドイッチ構成」と、結論が見えないようにする「之字構成」を紹介。

 

HOW TO WRITE AN EASSAY 5

エッセイの書き方 究極Q&A

エッセイはどう書けばいいか。文章に関する疑問の中から、アマチュアの方がひっかかりがちなことに絞って回答する。
エッセイはノンフィクションの1つで、ウソはいけないというが、創作的ウソもあり、そのポイントを解説。

 

HOW TO WRITE AN EAASAY 6

素材としての文章をエッセイに仕立てる

これまでの添削実例は原稿に修正を入れるだけだったが、ここではこれまでの総決算として、さらに書き直してもらった。
最初に原文を書いてもらい、最終的に素材としての文章をエッセイに仕上げてみた。劇的な変化を読み比べてみよう。

 


 

巻頭インタビュー「YELL」

 

Vol.042

辻村深月

書くのが辛いなら投稿をやめるのもあり。
情熱があれば再び書ける日が来る。

2018年本屋大賞に輝いた辻村深月さんの受賞後第一作は、4編からなる短編集『嚙みあわない会話と、ある過去について』(講談社)。大学の元サークル仲間、教師と教え子、親と子、小学校時代の同級生といった4組がそれぞれ「過去」に向きあうが、その認識の違いは恐ろしいほど。読み進めるほど、自分も無意識に誰かを傷つけているのでは……と胸がざわつく。
 

――続きは雑誌に掲載しています。

 

Profile
1980年生まれ、山梨県出身。
千葉大学教育学部卒業。2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)で第147回直木賞、『かがみの孤城』(ポプラ社)で第15回本屋大賞第1位となる。

 
『嚙みあわない会話と、ある過去について』
(講談社/1500円+税)

バックナンバー

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特集:エンタメはドラマ&原作から学ぼう!

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