【特集対談 番外編】石崎洋司×牧野節子

  • 文芸

2020.03.09

【特集対談 番外編】石崎洋司×牧野節子

撮影:賀地マコト

特集対談 番外編


石崎洋司(ベストセラー『黒魔女さんが通る!!』作者)
牧野節子(白百合女子大学・共立女子短大講師)
石崎洋司(児童書作家)

慶應大学経済学部卒。初めて小説を書いたら1000枚になり、それを200枚にして童話作家の木暮正夫先生に読んでもらう。それがデビュー作『ハデル聖戦記』。ほか、ベストセラー『黒魔女さんが通る!!』などの児童書のほか、YA『チェーン・メール』など著書多数。本誌では木暮正夫先生のあとを継いで童話講座を連載。福島正美記念SF童話賞の選考委員。

牧野節子(童話作家・小説家)

日本大学芸術学部卒。童話で「小さな童話」大賞を受賞。小説では女流新人賞を受賞。その後、日本児童文学者協会の創作教室で恩師だった国松俊英先生の推薦で『極悪飛童』で単行本デビュー。白百合女子大学、共立女子短大などの講師。毎日文化センター、NHKカルチャー青山教室、横浜ランドマーク教室、さいたまアリーナ教室でも児童文学講座を受け持つ。
4月号(3/9発売)の特集では、石崎洋司先生と牧野節子先生による児童文学対談を企画しました。ここでは、編集部によるこの番外編をお届けします。
 
暇つぶしに小説を書いたら1000枚に!

石崎洋司先生と公募ガイドとの縁は古く、もう10年以上になります。
以前、公募ガイドでは木暮正夫先生が「童話の書き方」の連載をしていましたが、その後任として連載を引き継がれたのが石崎先生です。
さらに現在の公募スクールの前身となる作品添削講座が始まり、童話添削の講師もお願いしていました。
(今は本業多忙のため、添削講師はしておりません。残念)

石崎先生とは不思議な縁があって、あるとき、私の恩師である文芸批評家の名前を出すと、
「スガさん、知っているの?」
「知ってるも何も、私の結婚式の主賓ですよ」
石崎先生はプロになる前、季刊批評誌「杼」の編集を手伝っていたそうで、スガ先生はその雑誌の創刊のメンバーであり、親交があったそうです。
共通の知人がいるなんて、世間は狭いですね。

この頃、石崎先生は作家になるつもりはなく、文芸批評家になりたかったようです。
そんなある日、石崎先生はテニスをしていて足をケガします。
痛くて痛くて、何か楽しいことをしようと、当時ハマっていたゲームからインスパイアされて小説を書き出します。
それがなんと1000枚までいったそうです(すごい!)。

 
パソコンの真っ白な画面を見ると不安になる!

石崎先生は元編集者ですので、そんな大長編はすぐに本にはならないとわかっています。
それで200枚にまとめ直し、せっかく書いたのだから商業レベルにあるのかどうか知りたいと思い、出版社時代に付き合いのあった木暮正夫先生に読んでもらいます。
木暮先生は「商業レベルにある」と言ったうえで、同じレベルのものをあと10編書きなさいとアドバイスしつつ、その原稿は児童書の出版社の編集者に渡していたそうです。
それがデビュー作の『ハデル聖戦記』です。
人を引き上げるのは、やはり人なんだなあと思います。

そんな才能あふれる石崎先生ですが、小説を書くとき、毎回、「今度こそは書けないんじゃないかと不安になる」そうです。
特に書き始める前、パソコンの画面が真っ白な状態を見ると不安になって、とにかくなんでもいいから書いて画面を文字で埋めると、ちょっと安心するそうです。
状況は違いますが、スティーヴン・キングの『骨の袋』にも似た場面があるそうですので、興味のある方は読んでみてください。

さて、ここで問題です。
石崎先生は、プロット作りについては、下記のいずれかのタイプに該当します。
さて、それはどれでしょう。

1. スタート地点だけは決めて、中盤や結末は決めないで書き出す。
2. スタート地点と中継点は決めるが、結末は決めないで書き出す。
3. スタート地点と結末は決めるが、間は決めないで書き出す。

「今度こそは書けないんじゃないかと不安になる」というあたりがヒントです。

 
投稿マニアが高じて、プロの作家に!

牧野節子先生は、皆さんの大先輩にあたります。つまり、アマチュア時代は公募ガイドを見てせっせと応募していたのです。
作詞家志望だったそうで、作詞の公募に応募していたそうですが、なかなか入選しないので、童話や小説に路線変更して応募をしていたそうです。
それで、毎日新聞主催の「小さな童話」大賞を受賞しました。

受賞作は「桐下駄」と言いますが、これは落語の「芝浜」を下敷きにしています。
牧野先生は大学時代、落語研究会に所属していましたので、笑いのツボをよく心得ています。
当時はあまりその手の愉快な童話は少なかったようで、それが受賞の理由だったのかもしれないと言っていました。

牧野先生は公募ガイドの「マニア訪問」というページに出たことがありました。今の公募ガイドで言えば「読者さん」ですね。
その後、「小さな童話」大賞を受賞し、「賞と顔」に出ました。これは今の公募ガイドで言えば「受賞のコトバ」ですね。
そのとき、「童話で受賞したから、今度は小説で受賞したい」と語っていました。

私、そのとき、「ポジティブだなあ」と思いつつ、「そんなに簡単にはいかないよ」と思っていたのですが、それから数年後、牧野先生はなんと本当に女流新人賞を受賞します。
私はそれを新聞記事で知ったのですが、「本当に受賞しちゃったよ」と驚いたのでした。

 
起承転結の転にあるといい3つの〇とは?

牧野先生は落研出身ということもあり、お笑いが好きなんですね。
以前、牧野先生を取材したあと、もっといろいろお話を聞きたくて、「このあと、お時間あったら、飲みながらお話を聞かせてもらえませんか」と言うと、
「今日、テレビにジャルジャルが出るんだけど、録画予約を忘れちゃって」
と断られてしまったのでした。
ジャルジャルに負けた!

牧野先生は、小林賢太郎さんも大好きで、あの逆算して逆算して、先がわからないようにわからないように仕組んでいく構成は、物語の作り方にも参考になると言っています。
私も牧野先生の影響もあって、小林賢太郎さんの大ファンになりました。
NHKでたまに「小林賢太郎テレビ」ってやってますが、「あれが伏線になって、ああ、ここにつながって、うわあ、うまい」という構成になっています。
創作する人は必見の番組ですね。

お笑いが好きなことと関係があるのかわかりませんが、牧野先生は創作のポイントをよく語呂合わせにします。
以前、エッセイに必要な要素を「はひふへほ」でそろえ、
〈ははは(笑い)、ひりひり(傷み)、ふふふ(喜び)、ぷんぷん(怒り)、へえー(知識)、ほろり(涙)〉と言っていました。
語呂合わせにすると、覚えやすいですね。

さて、問題です。牧野先生は起承転結の結の部分に盛り込むといいのは「3つの〇」だと言っています。それはなんでしょうか。

1. ドキリ、ウラギリ、モリアガリの3つのリ
2. 深い、うれしい、潔いの3つのイ
3. フック、トリック、レトリックの3つのク

起承転結の結の部分ですから、これはノーヒントでわかりますね。
わからない方は、4月号の特集をご覧ください。

(ヨルモ)




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