【特集INTERVIEW 番外編】やすみりえ(川柳作家)

  • 文芸

2020.05.08

【特集INTERVIEW 番外編】やすみりえ(川柳作家)

撮影:賀地マコト

INTERVIEW 番外編


川柳作家 やすみりえ
1972年、兵庫県生まれ。川柳作家。抒情的川柳を提唱し、数多くの公募川柳の選者、初心者向け川柳教室も多数開催。『召しませ、川柳』(新葉館出版)など句集、著書多数。
6月号(5/9発売)の特集では、川柳作家のやすみりえさんにインタビューしました。ここでは、編集部によるその番外編をお届けします。
 
WEB限定!誌面に入りきらなかったインタビューはこちら
 
 
川柳は笑えればいいわけではない

川柳というと、滑稽な句と思っている方が多いのではないでしょうか。
確かに、滑稽は川柳の三要素の一つではありますが、少し誤解があります。

「ギョエテとはおれのことかとゲーテいい」
明治時代の作家、齋藤緑雨の戯れ句です。
明治期は外来語をどう表記していいか迷いに迷った混乱期で、GOETHEの日本語表記はゲーテのほか、ゴエテ、ギューテ、ギェーテ、ギョートなど実に29種類もあったそうです。
緑雨の戯れ句はこれを揶揄して楽しいですが、これが川柳とは思わないでください。

もう一つ例を出しましょう。
「屁をひっておかしくもなし独り者」
こちらはおならがでてきますので下品な句のように思いがちですが、実はこちらは川柳です。
ところで、この独り者、もとは家族がいたと考えたらどうでしょうか。
昔は妻も子どももいた。それが不慮の事故で亡くなってしまったと想像してみます。
おならなどしようものなら、年頃の娘が「やだ、パパ。やめてよ」なんて睨んで、でも、それで家族が笑い合ってきました。
ところが、今はどうでしょう。屁をしたって、誰もツッコミもしない。
こう考えると、なんだか切実な川柳ですよね。

 
世態風俗の機微をとらえ、結果的に笑える

川柳の笑いは、ダジャレや語呂合わせ、ナンセンスではなく、ウィットやペーソスを感じる笑いです。

「本降りになって出て行く雨宿り」
有名な古川柳ですね。
小雨のうちに帰ればいいのに、いよいよ本降りになってから駆け出すって、バカだね~という感じでしょうか。
他人を見て詠むならウィット、自分のことならペーソスですね。
でも、よくよく考えると、人間って切羽詰まらないと決断できないところがありますよね。
今回の緊急事態宣言も、そんな感じじゃないですか。
こういう普遍性があるから、万人の共感を誘うわけです。

「これ小判たった一晩いてくれろ」
これも有名な古川柳の一つです。自虐ですね。
一両あったら、一カ月は生活できたでしょうか。
給料日が来たけど、すぐにローン返済で消えてしまうとかね。
川柳の笑いは、こうした世態風俗の機微をとらえ、結果的に笑えるというものなんですね。

 
一編の詩である抒情的川柳もある

一方で、笑いの要素のない川柳もあります。
機知的な笑いだった古川柳が江戸後期に狂句に堕してしまったことから、明治時代に阪井久良伎、井上剣花坊という中興の祖が改革を行い、「狂句百年の負債を返せ」のスローガンのもとに川柳を一編の詩にしようとしました。

特に、阪井久良伎のほうは、川柳=滑稽と見られることが嫌で嫌でたまらなかったようで、川柳を性急に風俗詩にしようとしました。
けれど、そこまでやったら、川柳が川柳でなくなってしまいますね。

「俳句にして川柳に近きは、俳句の拙なる者。もしこれを川柳とし見れば、更に拙なり。川柳にして俳句に近きは川柳の拙なる者。もしこれを俳句とし見れば、更に拙なり。」(正岡子規『俳諧大要』)

一編の詩でありつつ、俳句のように読み方を知らないとわからないという難しさがなく、一読明快というのが川柳の持ち味でしょう。

やすみりえさんは、こうした川柳史の流れの中にいます。
作風は、恋に特化した抒情的な川柳です。
公募ガイド6月号(5/9発売)の巻頭インタビューでは、やすみりえさんが川柳を詠むようになったきっかけや、句作の基本を手ほどきしてくれています。
また、数々の公募川柳の選者をしている立場からもアドバイスしてくれています。
川柳に挑戦しようと思っている方はお見逃しなく!

なお、今回、巻頭インタビューは、公募ガイドONLINEで「気ままに公募ママ」を連載中の塩田友美子さんにお願いしました。
さらに、巻頭ではインタビュー特別編として、公募川柳で入選1000回に迫るレジェンド、さごじょうさんにも取材しています。
併せてご覧いただければ幸いです。

(ヨルモ)

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