特集 文章力がぐ~んと伸びる! 文才ドリル

  • 文芸

2019.11.08

特集 文章力がぐ~んと伸びる! 文才ドリル

イラスト:ヒダカマコト


「○○は」と「○○が」は、どう違うのだろう。

文章を書く人にとって、避けて通れない疑問は、
「日本語って、どうしてこうなの?」です。
この疑問を、
「国語に関する疑問」
「文章表現に関する疑問」
「構成に関する疑問」
に分けて考えてみます。

まず、国語に関する疑問です。
たとえば、日本語には助詞(いわゆるテニヲハ)があって、
「はとが」「がとを」「にとへ」「にとを」などはよく似ていて、使い分けに困ります。
では、問題です。
〈これは公募ガイドです。〉と〈これが公募ガイドです。〉は、どう違うでしょう?

〈これは公募ガイドです。〉
この「は」は、いくつかの対象物の中から一つを取り立てて、他を区別(比較)します。
他を意識しています。
「これは」と題目を作り、それは何かというと、「公募ガイドです」と答えています。
重要なものは、「は」のあと(上記の場合は「公募ガイドです」にあります)。

〈これが公募ガイドです。〉
この「が」は、いくつかの対象物の中から一つを取り立てて、他を排除(無視)します。
他は念頭にありません。
「公募ガイドという雑誌があるらしいよ」と話題になっていて、「これがそうです」と答えるときなどに使います。
重要なものは、「が」の前(上記の場合は「これ」にあります)。

 
アマチュアの方になぜか多い、
体言止めと現在形


次に、文章表現に関する疑問です。
一般の方が文章を書くとき、なぜこう書くのだろうと疑問に思うことがあります。
それは、体言止めと現在形の多用です。

〈国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。/向い側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラスを落した。雪の冷気が流れこんだ。〉
(川端康成『雪国』)

語尾はすべて「た」か「だ」で終わっています。
しかし、リズムは悪くありません。それどころか、これ以上ないぐらい良いですよね。
それなのに、語尾がそろっているという理由で、これを体言止めにする人がいます。

〈国境の長いトンネルを抜けると雪国。白くなった夜の底。信号所に止まった汽車。/向い側の座席から娘が立って来て、落とす島村の前のガラス。雪の冷気が流入。〉

むやみやたらにやると、こんなお粗末な文章になってしまいますね。
体言止めをやるのであれば、ここぞというときだけにしたいですね。

〈怖いことがあった。夜中に目を覚まし、耳をすますと、天井裏で物音がする。侵入者か、そうでなければラップ音かと恐怖に震えた。〉

過去のことを書いているのに、真ん中のセンテンスでは「物音がする」と現在形で書いています。これを現写法と言います。
過去の出来事なのに、現在形で書いているから、今起きていることのように感じます。
こういうのはOKです。
ただし、これもむやみやたらにやると、文章がめちゃくちゃになってしまいます。

〈怖いことがある。夜中に目を覚まし、耳をすますと、天井裏で物音がする。侵入者か、そうでなければラップ音かと恐怖に震える。〉

「怖いことがあった」と過去形で書けば、そういう事実があったんだと示せます。
ところが、「怖いことがある」と現在形で書いた瞬間、時間の意味がなくなり、時間のないただの概念になってしまいます。
現写法を使うときは、段落のどこかに過去形を書き、そういう出来事があったことを示す。そして、現在形にするなら、“状態”を表す文章だけにするほうがいいですね。

 
起承転結を意識する人はいるのか、
それが最良の方法なのか


最後は、構成に関する疑問です。
文章の構成法と言えば、起承転結が有名ですが、ここで思う疑問は、
「起承転結を意識して書いている人なんているのだろうか」です。
特に短い文章では、特にそう思います。

私自身に関して言うと、起承転結を意識したことはありません。
適当に書き出して、書きたいことが終わったら、それまで書いたことを総括して締めの文章を書いて終わりです。
起承転結が4項目に分かれているとすれば、私の場合は1項目ですね。

強いて言うと、
「こんな疑問を持っています」
「その答えは、これです」
という「問い」と「答え」は書きます。
となると、2項目でしょうか。

しかし、この「問い」は導入部で、「答え」は結ですから、
その間には中身があります。
「問い」があって、それに対して現状やら実例やら反論やら「中身」を書き、
最後にまとめの「答え」があって終わりですね。
となると、3項目となるかもしれません。
というより、書きたいことは1つで、それに入り口と出口をつけると考えれば、シンプルでまとめやすいのではないでしょうか。 

 
12月号の特集は、読むだけでなく、
実践することに意味があるドリル


以上、「国語」「文章表現」「構成」に関する疑問と答えについて記しました。
公募ガイド12月号の特集では、さらに踏み込み、
文章について38問の設問(ドリル)を用意しました。
皆さん、楽しんで挑戦してください。

ただし、正解か不正解かは問題ではありません。
日本語に関する設問ですから、絶対的な正解もありません。
大事なのは、どう表現するのが一番いいかと考え、
答えを見たあとでもいいですから、実際にやってみることです。
考えた抜いた答えであれば、それが正解だと思います。

(ヨルモ)



【公募ガイド12月号 特集内容】
 
1. 国語力ドリル 出題編
2. 国語力ドリル 解答編
3. 表現力ドリル 出題編
4. 表現力ドリル 解答編
5. 表現力ドリル 補講編 文章表現のコツと技法
6. 構成力ドリル 出題編
7. 構成力ドリル 解答編
8. 公募対策をしよう! 入選する文章、しない文章
9. INTERVIEW 日本語を作った男(上田万年と夏目漱石)
   大東文化大学准教授 山口謡司
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【特集】文章力がぐ~んと伸びる! 文才ドリル
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