三杯目は、夏の渋谷をさまよいながら

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2017.08.31

世の中のコピーは、どんな人たちが、どのように作っているのだろう? コピーライターであり公募ガイドスタッフのダイゴロが、日々のコピー作りについて語ります。

三杯目は、夏の渋谷をさまよいながら

第三回目は、8月末の渋谷からお送りします。夕暮れですが、気温は36度。冷房の効いたカフェを探しているんですが、どこも満席。ですよね〜と、ふと宮益坂が目に入りました。確か、この坂の上にあったんです、コピーの教室が。

6年前、観光ポスターの衝撃体験を経て、コピーライターへの転職を決意。上京し、青山・こどもの城(現在は閉館)で行われている養成講座に通いだしました。週2回、有名クリエイターが講師を務め、コピーやCM案の課題を150人近い受講生に出す。トップ10に入ると優秀賞として与えられる「金の鉛筆」を競い合う半年間のプログラムでした。ここで講師に気に入られ、そのまま就職!と思っていましたが、現実は全くダメでした。

何がすごいって、受講生がストイック。ある人は、誰よりもアピールするために10個コピーを書けと言われたら100個書く。ある人は、想像だけでは作れないコピーを書くために商品の売り場に通い、店員に何度も取材をする。いいコピーのために何でもやっていました。それに対し自分は講師に褒められることばかり考え、かっこつけて中身のないコピーを連発し惨敗。見事にスベっていました……(今スベってないとはいわない)。

やがて半年が過ぎ。卒業記念展をしようという話になり、そのコピーをみんなで競うことになりました。負けすぎてカッコつける気も失せ「せめて一緒に頑張った仲間にお礼を伝えよう……」と考えたのがこちら。

「一人では、一行も踏み出せませんでした。」

意外なことに第二位に選ばれました。今思えば、飾らない素直な感謝をコピーにしたのが良かったのだと思います。そして、仲間からこんな一言をもらいました。

「この半年間がリアルに思い出せるなあ」

そうか、自分のコピーによって、半年間一生懸命書いてきた光景がみんなの目に浮かんだんだ。想像力や記憶を刺激して映像を見せるのがコピーなんだ。気づくの遅!と当時の自分に突っ込みたいのですが、その2つの気づきを今でも大切にしています。

……って、満席カフェがもう7軒目。暑くて死にそうです。もういい、自動販売機だ! コーヒーより夏は冷たいポ○リだ! というわけで、養成講座時代の話はここまで。次回もお付き合いください。ぐいっ。