十五杯目は「k-mix RADIO CMコピーコンテスト」攻略編

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2018.02.09

世の中のコピーは、どんな人たちが、どのように作っているのだろう? コピーライターであり公募ガイドスタッフのダイゴロが、日々のコピー作りについて語ります。

十五杯目は「k-mix RADIO CMコピーコンテスト」攻略編

第15回は早朝の自宅からお送りします。昨年末に引越しをして早2ヶ月。少しずつ新しい環境にも慣れてまいりました。

生活が落ち着いた頃からよく町歩きをしています。この喫茶店なら作業しやすいとか、この定食屋の生姜焼きはすごい美味いぞとか、このレストランのスクランブルエッグは安くて絶品とか……食べ物の事ばっかじゃないか! 美味いラーメン屋も既に3軒見つけました。冬の体脂肪が順調に成長を遂げています。

ちょっと気を取り直して今回攻略する公募賞を。2月12日〆切のFM静岡が主催する「k-mix RADIO CMコピーコンテスト」。第14回を迎える人気のCMコンテストで毎年名作が数多く生まれており、先日取材もさせていただきました(公募ガイド2月号に記事を掲載)。おそらく、この3連休挑戦される方もたくさんいらっしゃると思います。

「過去の受賞作品を比較することで何かしら攻略法が見えるのでは?」と思い、常連課題の1つ「マルモ食品工業のむしめん」の過去4作品を研究することに。……また飯の話じゃないか! 体脂肪育成計画がまた進行します。

第11回作品

SE:剣道場の雰囲気
子供:めーん!めーん、めんめんめんめん!

師範:あの小僧、めんにこだわっておるな。

おぬし、なぜそこまでめんにこだわる。

子供:だって、おいしい焼きそばが食べたいもん。

SE:ジューワー(ソース焼きそばの焼ける音)

NA:焼きそばといえば「マルモのむしめん」
マルモ食品工業から。

子供:むしめーん

第12回作品

(SE:料理番組の音楽)
女性アナ:「お料理ここがポイント」、今日は美味しい焼きそばです。
先生、お願いします。

先生:美味しい焼きそばを作るコツは、「マルモのむしめん」を使うことです。
(少しの間)

女性アナ:それだけですか。

先生:それだけです。

NA:それだけで美味しい「マルモのむしめん」。マルモ食品工業です。

第13回作品

女神:木こりよ。そなたが落としたのは、この金の斧か?

木こり:いいえ。マルモのむしめんです。

女神:この銀の斧か?

木こり:だから、マルモのむしめんです。

女神:では・・

木こり:食べたんですか?

女神:・・・。

NA:みんな大好き。マルモのむしめん。

第14回作品

母:ママが作った焼きそば、どう?

子:すごくおいしい!

母:でしょ?料理には自信あるの。

子:この前、パパが作ったのと同じ味!

NA:誰でも手軽にプロの味。富士宮焼きそばは「マルモのむしめん」

一見バラバラの4作品なんですが、ある共通点があります。「どんなふうに美味しいか」をあえて伝えていないのです。理由は「美味しい」という味覚の情報が音だけのラジオCMでは伝わりづらいから。同じCMでもテレビCMの場合、美味しそうにほうばるタレントや、湯気や肉汁の描写から味がイメージできますが、ラジオではむしめんの麺すら目に見えない。故に「麺がしっかりしていて歯ごたえがあり、タレの甘辛い味がクセになる!」などと言ってもイメージがしっかり伝わらず、興味をそそらないのです。

では、この4つのCMはどうやってその「美味しい」を伝えたのか? まず11回と13回の場合は「剣道」「昔話」という一見異なる場面から商品につなげて、「むしめんのCMだったのかー!」というオチで味には一切触れていません。
次に12回の場合は「料理番組」という実際に商品が登場する設定にも関わらず「マルモのむしめんを作れば、美味しい焼きそばがつくれますよ」としか情報が開示されておらず、「どう美味しいか」かは具体的に伝えていません。
そして14回。親子で食べるシーンが出てきて「すごくおいしい!」と子供が言った後、味の具体的な内容を言うと思いきや「パパが作ったのと同じ味」というオチ。「結局どんな味だよ!」と視聴者は突っ込みつつも興味をそそられる。そう、4つとも味の内容を具体的に言わないことで、逆に聞く人に強いインパクトを与えているのです。(そして主婦はスーパーで富士宮焼きそばを見かけ、そのインパクトを思い出しながら手に取っているのでした……)

ただでさえ音だけで構成されているラジオCMで、商品の情報を明確に伝えることはかなり難しいです。さらにこのコンテストの場合、静岡限定の商品も多く、他の地方在住の応募者は接触することも困難で、その特徴をホームページなどの限られた情報でしか知ることができません。
ならばいっそ、具体的に内容を伝えずに「つまりどういい商品なんだ!」と突っ込みたくなる内容にすることで印象に残るようにして、商品や企業への興味をそそる方法が有効なのではと分析しました。

おっと、もう早朝でもなんでもない時間。そろそろ仕事しに外に行きます。この時間、豆腐屋さんで豆乳が格安で飲めて美味しいんですよ。……また食べ物じゃないか! それではこの分析が少しでも皆さんのお役に立てればと思いつつ(全く役に立っていなかったらすいません……)ぐいっ。

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