二十八杯目は「新聞は、栄養だ。」

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2018.10.05

世の中のコピーは、どんな人たちが、どのように作っているのだろう? コピーライターであり公募ガイドスタッフのダイゴロが、日々のコピー作りについて語ります。

二十八杯目は「新聞は、栄養だ。」

第28回は、秋雨の降る渋谷からお送りします。今回取材したのは、中田国広さん。会社勤めの一方でさまざまな公募コンテストに挑戦され、先日「第1回しんまい動画コンクール」では特別賞を受賞されました。「竹野内豊似だと書いてくださいね!」と気さくに笑う中田さん。一体どんな話が聞けるのでしょうか。

バラエティ番組や大喜利企画などの公募にも、果敢に挑戦!

中田さん:初めは広告代理店所属だったのですが、26歳で超若気の至りで独立ししました。でも仕事全然無くて、お金がなくて、着ぐるみのバイトをしていました(笑)。その後はサッポロビールでキャンペーンレディ企画の全国キャラバン、椿油の会社でマーケティング、業務用ワサビの会社で営業、写真雑誌の会社で広告営業などいろんなキャリアを重ねましたね。そして、37歳の時に今のステッドラー日本というドイツの文房具の会社に入社し営業をしています。

ダイゴロ:色々なキャリアを経て現在に至るんですね。最初に公募に参加したのはいつ頃でしょうか?

中田さん: 2001年にバラエティプランナーというフジテレビの公募企画に31歳の時、応募しました。学生の時から放送作家に向いていると言われていたんですが、思い上がりがあって公募にそれまで挑んでいなかったんですね。でも人生を変えたくて、優勝者に300万円、入賞(2人)100万円のこのバラエティ番組の企画公募に参加しました。応募したのが「GANBO.」という企画。

ダイゴロ:ガンボ?

中田さん:ガンガンボインの略です。

ダイゴロ:なるほど(笑)

中田さん:わかりましたね(笑) 世界中にある略語を探したり、作るバラエティ番組を提案する企画で最終審査の6人まで残りました。しかし、最後のフジテレビの面接で落ちてしまいまして。でもその際に凄い才能の方たちとの出会いもあったんですよ。入賞した方は24案提出。優勝者はMXテレビで放送作家として活躍されていて、すごくいい刺激をいただきました。

中田さん:それから10年後の2011年、久しぶりに公募に挑もうと吉本興業の芸人2・市民芸人発掘プロジェクトに応募しました。有名な吉本芸人が審査員で、初回の大喜利には箸にも棒にもかからなかったんですが、でも第2回、第3回で連続認定でリベンジしました!

ダイゴロ:どんな企画だったんですか?

中田さん:第2回のお題は「遅刻を伝える留守電。『なんやそれ!?』どんなメッセージ?」という大喜利企画で「道の途中でお金拾ってから行くわ!」と答えるんです。その際マリオの「チャリーン」というコインゲットのSEを付けてみたりして。

ダイゴロ:(爆笑)それ、ちょっと面白すぎませんか!

中田さん:何回聞いても面白い!と芸人の審査員の皆さんに褒めて頂いて。そこから吉本興業の大喜利などの手伝いをするチャンスをいただけるようになりました。これがきっかけで「そうだ、俺クリエイティブな事、やりたかったんだ」と思い出し公募への火が付きましたね。

ダイゴロ:そこから中田さんの公募への数々の挑戦がスタートされたんですね。

中田さん:転機は第54回宣伝会議賞で北陸電力の課題で出したラジオCM作品がファイナリスト止まりだった事。会場で悔しさに堪えていたら、北陸電力の担当者の方から協賛企業賞で次点だったことを伝えられました。その話を聞いた瞬間、ショックで目の前が真っ白になったのを今でも覚えています。

ダイゴロ:それはショックですね……。

中田さん:そこで臥薪嘗胆だと思い、全国のラジオCMに応募するようになりました。すると必ず入賞している人達の名前や作品を見る機会が増えまして「なるほど、コピーライティングをもう一度、きちんと勉強しないと勝負にならない。」と思いコピーの本を読みあさるようになりました。                                                                                  

初めは自分を変えるため。しかし落選が続いたことで、公募に本気になったと中田さんは語ります。

コンセプトコピーが「しんまい動画コンテスト」の突破口に

中田さん:昨年の文化放送ラジオCMコンテストではリスナー大賞を受賞出来ましたが大賞は逃がしました。詳細は話せませんが、その時もすごく悔しい事が起こっていて(笑)、日本を代表するCMディレクターとコピーライターの先生に励まされて。でも地方ラジオCMコンペで惨敗続き、第55回宣伝会議賞は2次止まりで撃沈。改めて、コピーライティングで勝負するのは大変だなと。そこで自分の得意分野は頭の中を映像化する事、それで勝負できる公募はないかと探していたらこの「しんまい動画コンテスト」を見つけて。良いな、これと思いました。

ダイゴロ:どこに惹かれたのですか?

中田さん:新聞の良さを伝える、というテーマが魅力でしたね。新聞は日経しか普段読んでいないのですが、信濃毎日新聞のシェア率に驚きました。

ダイゴロ:どのように取り組まれたのでしょうか?

中田さん:コンセプトコピーを作る必要があるな、と思いました。特に今回のクライアントは新聞社。新聞は言葉でできているのだからそれを大事にするのが礼儀だと思いました。新聞の本質を伝えられるコピーが絶対必要だと。

ダイゴロ:なるほど。

中田さん:新聞は無くても生きていける存在、じゃあなんで読むのか?それを考えたら「新聞はコミュニケーションのきっかけになる。仕事にも活きる手段になる」ことに気づいたんです。これはなんだろう、一言にまとめると脳や心を動かす栄養なんじゃないのか?と。

そこで新聞を牛乳やお肉に例えるアイデアを発想したと中田さんは語ります。

中田さん:この表現で、新聞配達をする人が増やせるなと思いました。一方、これを映像にしてくれるアニメーターさんの協力がいるなとも思いました。特にパラパラマンガの表現ができる方がほしいなと。新聞だからめくる感じがほしいと思ったんですよ。その時、ココナラというWEBサイトの日時計さんという凄腕のアニメーターさんが引き受けてくれて。本当に凄い方でした。〆切より早く、そしてレベルの高い動画を完成することができたんですよ。

ダイゴロ:そして特別賞受賞。いやあ、本当におめでとうございます!

中田さん:受賞者のうち長野県外在住は私含め2人。残りの方は全員長野県在住でした。そこに食い込めたのは嬉しかったですね。これからこれを弾みに文化放送ラジオCMコンテストなどでも結果を出したいです!

ダイゴロ:では最後に読者へメッセージをお願いします。

中田さん:公募の一番良い所は、色んな人と知り合えて自分の世界が広がるチャンスがあることだと思います。大喜利しかりコピーしかり。入賞すると新しい仲間やライバルができるんです。私みたいなオッサンになると仕事以外で仲間を増やすって意外と難しいんです、いやホント。公募には自分の輪を広げられるチャンスが待っている。賞金や名誉はあくまで2番目。たくさんの仲間と知り合えて今までなかったチャンスが広がるので、たくさんの人にぜひ挑戦していただけたら嬉しいです。

 

ユーモアを交えつつ、公募の魅力を語ってくれた中田さん。どんな状況でも復活したからこそ浮かべたその爽やかな横顔を見つつ俺も書くか!とスプラ◯トを、ぐいっ。

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