十一杯目は、文化放送ラジオCMコンテストスペシャル(上)

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2017.12.26

世の中のコピーは、どんな人たちが、どのように作っているのだろう? コピーライターであり公募ガイドスタッフのダイゴロが、日々のコピー作りについて語ります。

十一杯目は、文化放送ラジオCMコンテストスペシャル(上)

第11回目は、公募ガイドの大会議室より、お送りします。今回は年末特別企画。12月29日19時より「第11回文化放送ラジオCMコンテスト」の結果発表があり、番組放送を盛り上げようと2年前グランプリを受賞されたCMプランナー「合田ピエール陽太郎」さんに対談取材をお願いしました。なんと連載初の分割式!(次回は明日更新)放送をより楽しんでもらえるよう、いつもよりボリューム大幅増量でお送りします。

まず、そのピエールさんの文化放送ラジオCMコンテスト・グランプリ作品がこちら。

SE   (扉)

中年男性 ただいま。

(間)

きゃーーーーーーーー。

きゃーーーーーーー。

N    あなたの中の女性が目覚める前に。
            害虫駆除ならクリーンドクター シー・アイ・シー。

自宅に帰り、害虫(おそらくゴキブリ?)を見た中年男性が女性のような悲鳴をあげる……この作品を生んだ合田さんとは、どんな人なのでしょう?

合田ピエール陽太郎さん。ダイゴロを抱きかかえて撮影

バリスタとしてロサンゼルスへ。そして広告の道へと歩み出す。

ダイゴロ:
ピエールさん、本日はよろしくお願いします。まず、どのように広告の世界に入ったのですか?
ピエールさん:
最初は、カヤックのコピー部に入りました。
ダイゴロ:
確かカヤックの前は、レストランでウェイターをされていたとか。
ピエールさん:
接客って料理人とお客さんをつなぐ仕事だと思うんです。シェフから、マカロニグラタンの消費期限が切れるから売ってこいという課題が出て、「今日は、マカロニグラタンが一番うまいです! 」などの一言を添えて10個完売して解決する、みたいな仕事が楽しくて。あるとき、「言葉で人と人をつなぐ仕事がしたい」という話をお客さんにしたら、それって広告だよと教えてもらったんです。そこから広告に興味が湧き、宣伝会議のコピーライター講座を受講しました。
ダイゴロ:
それがおいくつの時?
ピエールさん:
29歳です。ところが、受講後、当時いた会社のロサンゼルス支社に飛ばされまして。半年間バリスタとしてコーヒーを入れていました。……正直、日本に帰りたくてしょうがなくて。時間の感覚が日本とは全然ちがったので。中には、仕事中に勝手にニンジン食いだす人も…。
ダイゴロ:
ニンジン!?
ピエールさん:
働くのが嫌いな僕が、イラつくレベルの職場でした。早く帰国したかったですね。なにより広告がずっとやりたくて。そんな時、カヤックが新しい部署を立ち上げるためにコピーライターを募集していて、応募してみたら受かっちゃったんです。
でも入社したはいいが、何をしていいかわからなくて。デスクワークがそもそもわからないんですよ。
ダイゴロ:
それまでバリスタをやってましたからね。
ピエールさん:
外国人の前で「ノー! イエス!」を連呼していただけでしたから、半年くらい前まで。訳わからなかったんですよ。コピーライティングとは何か? くらいのレベルで。やばい、書けねえ! と。
ダイゴロ:
その後、カヤックを退職されて宣伝会議賞のCMゴールドを獲られたと。

そのTV-CM(ECCで外国語を習う動機づけとなるような広告)がこちら。

『何気なく間違えている結婚式のBGM』篇
 
結婚式

花嫁と花婿が二人で仲良く歩いている。 ホイットニー・ヒューストンのI Will Always Love Youが流れる。

Music : Bittersweet memories that is all I’m taking with me.
So, goodbye. Please, don’t cry. We both know I’m not what you, you need.

字幕 :ほろ苦い思い出 それだけを持ってゆくわ さようなら どうか泣かないで お互い分っているでしょ 私はあなたが必要としている女性ではないことを

Music :And I will always love you.

コピー:なんとなく英語を使っていませんか。正しい英語はECC。

何気なく聞こえている英語の意味が、実は……という発想で見事第51回の宣伝会議賞CMゴールドを受賞されました。
 

「敢えて面白くないものも出す」ピエールさんのCM作りの極意とは。

ダイゴロ:
さてCMプランナーであるピエールさん。ラジオCMを作る極意とは何でしょう?
ピエールさん:
いっぱい作る、ですね。仮に50本作るとしたら自分が面白くないと思うものも含めて、50本出しています。
ダイゴロ:
面白くないものも?
ピエールさん:
CMって面白いものを考えよう、考えようとするから、自分の面白いものだけを出してしまうんですが……自分の思っているものって、案外面白くないというか。
ダイゴロ:
なるほど。
ピエールさん:
例えば講演会で面白いと思って話しても、シーンとしている。合コンに行ってウケると思ったギャグが、全然ウケなかったりするんですが、「ビールを飲む際に小指が立っていた」という意図していないことが、何故か受けたりするわけでして。リトマス試験紙じゃないですけど、自分が面白いと思わないものも出すことで、僕の面白いものと審査員が思うものの違いを知るというか。そんなわけで僕は面白くないものも、めっちゃ出しています。
ダイゴロ:
面白くないものが通ることも?
ピエールさん:
通っているものの大半は、僕の面白くないと思っているものです。逆に僕がめちゃくちゃ面白いと思っているものは、一切通らない(笑)。話しても「これのどこか面白いんですか? 」みたいな。僕に限らず、宣伝会議賞などでも、本人が意図していないものが通ったという話をよく聞きます。面白いと思ってるものだけを出すって、自分を狭めることになると思うんですよ。自分なりに広げないと。「面白いと感じないものも出す」それが僕の極意です。
ダイゴロ:
自分の面白いものに固執せず幅広く、ということですね。公募に限らず、仕事でアイデアを出す時にも役立ちそうですね! すごい!
ピエールさん:
そんなに褒められちゃうと……口が止まりますね!
ダイゴロ:
ピエールさん(笑)

 

取材に対応する、合田ピエール陽太郎さん

……さて、今回はここまで。明日の更新では「ピエール流・文化放送のコツ」や「文化放送・公開録音の現場とは」などをお送りします。それではクリスマスに飲み損ねたシャン○リーを、ぐいっ。

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