おウチde俳句大賞 その3
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2020.11.02

第二回おウチde俳句大賞の表彰式。各部門の優秀賞発表で、いきなり名前を呼んでいただきました! あまりの感動で記憶がありません。やがて、すべての部門で優秀賞の発表が終わり、最優秀賞の発表に進み――。
最優秀賞は、あらかじめ各部門から1句ずつ夏井先生が選句されており、名を伏せられた状態で会場の正面に掲示されました。
相談はなし、自分の作品だと自白はしないというルールのもと、多数決で最優秀賞6句の中からさらに大賞を1句決めるのです。
それぞれの解釈や、良いと思った理由を参加者が次々と発表していきます。
これが感動ものなのです!
会場中が、笑いあり涙ありで、私もたくさん心が動かされました。
人の解釈を聞いていくうちに、思いもよらなかった句が好きになり、自分と重ねられる部分を見つけられるのです。
誰かを思いやる気持ち、遊び心、自分を奮い立たせる姿などを詠み込んだもの。
同じテーブルの方が、
「人の意見を聞く前と後では気持ちが変わるでしょう」
とおっしゃっていて、深く頷きました。
よく、どなたかの作品を詠んで「これはどういう意味なのだろう」と思うことはありませんか。
それが、ご本人だけではなく第三者の解釈を聞くことによって、謎が解けるどころか味わいが深まるのです。
そしてついに、リモート参加者と会場にいる参加者すべての発表が終わり、大賞が決まりました。
大賞に選ばれたのは奥様との散歩を詠まれた句でした。
ご本人のコメントの際、夏井先生から奥様へのメッセージを聞かれ、涙して言葉に詰まってしまった場面がありました。
その瞬間、どれだけの人が心を動かされたことか。
50人近い参加者が一体になって彼を応援している空気を感じたのです。
句はもちろんのこと、奥様への言葉も愛情に溢れていて何度も思い出したくなる素敵なシーンでした。
その後、即興投句会も行われ、10句が選ばれるという熱い企画がありましたが、現時点では、大賞の発表までがYouTubeで配信されています。
今回参加して感じたことは、この世界は感情をむき出しにしても許されるということ。
日常生活では触れることの少ない心の根っこの部分を表現し合える、とても人間らしい場だと思ったのです。
こんなに感情豊かな時間を誰かと共有することができるものなのか!と驚きの連続。
初めて句会の形式を体験しましたが、初めてにしてはあまりにも豪華な会となりました。
同じテーブルの方々の話も全てが興味深く、終わりが来てほしくないほど楽しい時間を過ごしました。
ただ、一方で、俳句を深く勉強なさっている方々にお会いし、ふと思いました。
川柳や短歌などいろいろと挑戦しているけれど、何かに絞ってちゃんと勉強するべきなのかなと。
参加者のお一人に、
「川柳や短歌も好きでやっていますが、俳句も含め全てが中途半端なんです」
と白状したところ、笑顔で私におっしゃいました。
「いろんなことをやったらいいと思いますよ。自分はこれしかできないと決めつけなくてもいいんじゃないですかね」
これ!というものが特にない私ですが、今はただ「公募が好き」でもいいのかな。
と思えた一言でした。
そんな人生の先輩からの言葉を胸に刻み帰ってきました。
今回参加したのは俳句の会でしたが、公募全般のやる気が上がったように感じます。
川柳も、短歌も俳句ももっともっと知りたい、作りたいと思ったのです。
どの分野でも、触れてみて初めて自分に足りない部分が見えてきます。
だからまずはやってみるしかない。
自分なりに頑張っていくうちに、必ず自分以上に頑張っている人に出会えます。
そうすると、その人たちから確実に大きなパワーをもらえるのです。
公募には人生を変える出会いがある。
そう実感できた良い体験となりました。
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