拾った言葉ノート

  • コラム・リサーチ
  • 文芸

2021.06.18

公募歴5年、入選回数は200以上。驚異の入選確率を誇る塩田友美子さんには、どんな秘密があるのだろう。読めば自分も入選できる!?

近頃、私は一つ思い違いをしていたことに気づきました。
公募活動は決して孤独ではないということです。

どこかで誰かが同じように苦しみ、また楽しみながら何かを生み出していると実感したからです。
前回こちらの連載にて胸中を打ち明けたところ、思いのほか反響がありました。
夜中に一人、書いては消しを繰り返すことに意味を見出せなくなったことを載せたのですが、SNSや公募ガイド社に、共感や励ましの声が届き、同じような気持ちを味わっている方が多くいると知ったのです。

そして、一人ひとりのメッセージに胸を打たれました。
現代では顔を突き合わせないSNSで、好き放題に発言する傾向があります。
そんな中でポジティブな声をかけ合えるつながりは貴重で、世の中捨てたものではないと思いました。

私はたまに、人からいただいた言葉を書き記すことがあります。
そもそもメモ魔気質で私には様々なノートがあるのですが、その中で公募にも使えるのが「拾った言葉ノート」です。

そこにはテレビや本で見聞きしたものや、大好きな作家や音楽家の気に入った言葉なども書いています。
身近な人とのちょっとした会話や、子どもの何気ない話にグッときたことも中にはありますし、自分の思いつきや考えを書くこともよくあります。
人柄や立場により意味が変わってくるので、誰が言ったかもなるべく書いています。

ぼんやり考えていたことを形にしてくれた人がいたときや、聞いたことのない表現に出会ったときの感動を風化させたくないからです。

ノートをめくってみると、例えばこんなことが書いてありました。

「言わなくてもわかってもらえると思うのは甘えだ!」

これは学生時代に親友から言われた言葉です。
誰かにわかってもらえない時、どことなく相手のせいにする傾向があったのですが、言われてみると「自分が伝えていなかったからなのか!」と衝撃を受けたのです。
それからは、理解し合いたい相手に、伝わる話し方を心掛けたいと思うようになりました。
また、こんなに真正面から向き合って言葉をくれる友人が今もいることを幸せに感じます。

他には
「ママのお誕生日に、バットと目隠しとスイカあげるね!」

というような、幼い娘との他愛のない日常会話なんかもありました。
なんだか面白くて、読むたびにほほえましいのです。
スマホでは写真を撮り逃すことはありますが、言葉はあとから切り取って残すことができ、読めばその時の空気感さえよみがえってきます。

すべて走り書きのメモのようなものですが、それをパラパラめくると単純に「いいなあ」と感じます。
悩んだ時に解決の糸口が見つかることもありますし、たまに公募の材料を拾えることもあります。

好きな言葉を並べてみると、自分がどのような考え方に惹かれ、どういう人間になりたいかまで見えてくる気がします。
これはどんな本よりも面白く、もし誰かが同じようなノートを書いていたらぜひ見せてほしいくらいです。
公募もゼロからネタを探すのは大変なものです。
しかし、自分の好きな言葉を集めたノートを眺めるだけでもインスピレーションがわいてくるのでお勧めです。
きっと人生で一番の愛読書となることでしょう。

バックナンバー

2021年9月24日 つまらない話
2021年9月2日 富士山を詠む
2021年6月18日 拾った言葉ノート
2021年5月14日 再スタート
2021年3月22日 明るさを調節する
2021年3月1日 シンプルを楽しむ
2021年2月8日 強かに詠む
2021年1月15日 変化する作品
2020年12月25日 行動から生まれるもの
2020年12月12日 第三十一回伊藤園お~いお茶新俳句大賞
2020年11月20日 『シルバー川柳10』
2020年11月2日 おウチde俳句大賞 その3
2020年10月23日 おウチde俳句大賞 その2
2020年10月16日 おウチde俳句大賞 その1
2020年9月25日 噛んで飲み込む時間
2020年9月4日 公募で考える未来
2020年8月14日 しっくりくる方法
2020年7月23日 苦手意識
2020年7月6日 今できること
2020年6月12日 公募の輪
2020年5月22日 インタビュー後記
2020年5月1日 あるもの
2020年4月10日 掛け合わせ
2020年3月23日 トレーニング
2020年2月28日 わたしのこと
2020年2月8日 自分らしさ
2020年1月17日 インプットする
2019年12月28日 時には真面目に
2019年12月6日 見て書く
2019年11月18日 「進行形」の力
2019年10月25日 公募の入口
2019年10月4日 公募をする理由
2019年9月13日 連想ゲーム
2019年8月26日 抽選か審査か
2019年8月2日 俳句に挑戦
2019年7月12日 憧れを形に
2019年6月21日 公募仲間
2019年6月3日 ゴーストレート
2019年5月10日 わかってもらうには
2019年4月12日 時代を詠み込む
2019年3月22日 投稿し続ける意味
2019年3月1日 祖母の教え
2019年2月8日 ルーツをたどる
2019年1月18日 ペンネームどうしますか?
2018年12月27日 公募ママへの思い
2018年12月7日 NHK短歌!
2018年11月16日 賞を深掘り!「響」文学賞
2018年10月26日 「小さな助け合い物語賞」表彰式へ!
2018年10月9日 フィクション?ノンフィクション?
2018年9月14日 どこに入っているの?
2018年8月24日 絵っ!?のレベル
2018年8月3日 大人も絵本を
2018年7月13日 締め切り対策
2018年6月22日 公募三種の神器
2018年5月22日 賞を深掘り! 各務原市文芸祭
2018年5月2日 賞を深掘り!「たった一言でコンテスト」
2018年4月13日 やってみる
2018年3月23日 はじまり
2018年3月2日 外からの目
2018年2月9日 エッセイのテーマ
2018年1月19日 今年の目標
2017年12月22日 感謝
2017年12月1日 手紙
2017年11月9日 チャンスの大きい公募
2017年10月13日 「自由」を楽しむ
2017年9月22日 公募を始めたての頃
2017年9月8日 語尾の大切さ
2017年8月25日 はじめに